濱野裕生

花ミズキ – 濱野裕生

過ぎゆく季節の中で 母が老いを急ぐ
移ろう季節が・まるで‥私まで弄んでる
二年前、母の為にと植えた花ミズキ
私の背丈と同じくらいネ‥って 母が言ってた
朝な夕なに水をやり 大事に育てたが
ふと・気付けば・母の身体が 随分小さくなってる
花ミズキ・君の背丈が伸びたからだけじゃない
母の‥母の身体が少しずつ‥縮んでる
教えてくれ花ミズキ・母の心が分からない
近頃・母はめっきり 言葉数が減ってきた
Uh hoo hoo hoo Uh hoo Uh hoo hoo …

寒さもどうやらやり過ごせたね ほら・見てごらん
施設の庭には赤い花ミズキ 夏はもうすぐ
「うちにもあるよね?花ミズキ」母は覚えてる
「もう、見る事もないだろうね」って・哀しい事を言う
「よせよ、そんな言い方は‥頑張るのはあんただろ!」
突然、母は黙り込む 時折、私をにらむ
花ミズキ・君と私は似たもの同士だね
香り持たない君も‥母の心に入れない
過ぎゆく季節の中で 母が老いを急ぐ
移ろう季節が・まるで‥私まで弄んでいる
Uh hoo Uh hoo hoo Uh hoo Uh hoo hoo …

花ミズキ、君の事を母が気にしてた
私はまだ家には帰れない「歩くのがちょっとネ」ってさ
花ミズキ、そしてこうも言ってたよ 随分、大きくなったろうネって
「処で赤かい?白かい」ってさ少し寂しいね
だけどそれでいいと思うよ つかず離れずって言うのか
母が振向けば・君はいつも母の帰りを待ってる
花ミズキ、待ってろよ 必ず母を連れて帰るからさ
老いた母の為に君は‥背丈は余り伸ばすなよ
過ぎゆく季節の中で 母が年を重ねる
過ぎゆく季節の中で 母が老いを重ねる
過ぎゆく季節の中で…過ぎゆく季節の中で…
Uh hoo Uh hoo hoo Uh hoo Uh hoo hoo …

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