濱野裕生

秋:夕暮れ – 濱野裕生

ほら・どう思う・あの空を 母が古い映画のヒロインみたい
夕焼けを前にして椅子に座ってさ 私の・そばで腕組みしてる
母にはあの空・見えるだろうか 弱った視力が少し気に掛かる
長い道のりを歩いた母は 時に・ああして昔を探してる
生きる事に疲れた・とか 足でまといになりたくない・とか
そんな思いは持って・欲しくない
生きてきて良かった・とか それなりに幸せだよ・とか
そう思って・欲しい
ほら・見てご覧・夕陽が動く オレンジみたいな顔して こっちを見てるよ

母が・私を見る・空を指さす お前は飛行機・乗った事があるかいって・さ
私は・そんなモノはいらない もうすぐ・あそこに行けると
哀しいジョークを言う
突然・母が口にする夕餉の仕度 買い物に行くのを忘れた・と言う
お前は今夜・何が食べたいかと あり合わせでいいよ・私は答える
そうじゃないでしょう・とか 何回言ったら分かるの・とか
こんな時には言わない方が・いい
母が母であろうとする・事 柄の間であっても・いい
それは・とても大事な・事
もう・陽が沈む・家の中に戻りましょう 山積みの洗濯物でも畳んでみます・か

生きる事に疲れた・とか 邪魔者にはなりたくない・とか
そんな思いは持って欲しくない
あんたと暮らして良かった・とか 親ってやっぱりいいもんだよ・とか
そう・思わせてくれ
ほら・見てご覧・もう日が暮れた 部屋の窓から町灯り・見える・はず

人気の新着歌詞

兄ちゃま – 濱野裕生

兄ちゃま、あれはどこ? 綺麗な水がいっぱいあってさ白い鳥が泳いでいたよね 貴方はパンくず投げたよね八景水谷の公園の事? 水が湧き出る公園だよね水鳥が確かに居たよ

ホッホ – 濱野裕生

人生って老いてからの方が 辛い事が多いね‥ホッホ・母が笑う朝から何を食べて お昼はどこに居て‥ホッホ‥それさえ分からないそれでもいいじゃないか 生きてみせるって

蝉しぐれ ~老いゆくいのち~ – 濱野裕生

外は蝉しぐれ 風が途切れた早い朝早朝野球を終えた 私を母が待つほら見てご覧 母が空を指差す遠く青く澄んだ空に浮かぶ ちぎれ雲一つ目を落とせば 庭に白い花生姜名前

八年目の蝉しぐれ – 濱野裕生

貴女に聴こえるかしら・あの声が 岩倉台の貯水池あたりほら・蝉が鳴いてるよ 貴女は分かるかしら 一緒に暮して八度目の夏短命を知るや知らずや・蝉しぐれ いつか貴女が

綿雪 – 濱野裕生

ホラ・綿雪が踊りだしたよ 青く澄んだ空からデイへの途中のいつもの交差点 貴女は空を指差す‥「雪を掴んでみようかしら・ちょっと窓を開けておくれ」とまるで子供のよう

施設にて – 濱野裕生

窓越しに見える夕焼け空 施設の外は車の波遅かったじゃないか 何してんだと 私を激しく叱る買物に行くよ これから直ぐにさ お前と一緒にさ何も分からない今が分からな

露草 – 濱野裕生

貴女の乗った車椅子 ほら・その少し先小さな花が見えるでしょう そう・あの露草が‥今年も咲いてくれたよね そう・いつもの場所にね朝一番の涙の滴を ほら・今朝も湛え

母の童歌 – 濱野裕生

おじちゃん・あそこに連れてって 小さな祠のある所貴方は教えてくれたでしょ ここから昔に戻れる・とだったら・私は帰りたい 自分が誰だか聞きにいくおじちゃん・訊ねて

春は・まだ – 濱野裕生

春はまだ薄目を開け・そっぽを向いてる 風はまだ白いガウンを羽織ったまま今朝の母はベッドの中・丸くなったまま 春はまだかと春はまだかと催促してるそうだね・今はまだ

風よ光よ‥ – 濱野裕生

風よ君に・心あるなら 頼んでおきたい‥事があるもしも母が・ふさぎ込む日は 語り掛けてくれ‥母の耳元でそして、君は・届けてくれるか 私の思いをそっと‥母のもとへ光

ふるさとへ帰ろう – 濱野裕生

ふるさとへ帰ろう 君が育った町へ君の母が待ってる 老いた身体を横たえて‥君の帰りを待ってる自分の命を削り 君を育てた母が君が忘れかけたふるさとで 老いた身体を横

花ミズキ – 濱野裕生

過ぎゆく季節の中で 母が老いを急ぐ移ろう季節が・まるで‥私まで弄んでる二年前、母の為にと植えた花ミズキ私の背丈と同じくらいネ‥って 母が言ってた朝な夕なに水をや

ひととき – 濱野裕生

母はコタツの中で両手を擦る そして、痛む膝をさすり出す私は少し猫背で頬杖をつき 薄目をあけてTVを見ているやがて母はミカンに手を伸ばす そして、右の頬に当ててい

母のクーデター – 濱野裕生

2003年、夏 母が突然、騒ぐ!こんなとこまで連れてきて あんたはひどい息子さ今すぐ私は帰るよ 母が身支度を始めるよろける足を踏ん張りながら 帰り支度をする理由

金木犀 – 濱野裕生

いつになく冷えた朝 窓の外は深い秋雪のように舞い落ちる金木犀 白い季節はすぐ‥そこ静かな寝息立て 今朝は母がまだ眠ってる昨日、届いたばかりのハーモニカ 枕のそば

Back to top button