独りぼっち 何気なく眺めるハコん中から
得意気な女のひとが語りかけた
「ご存知ですか?涙の成分は血液と同じだってこと」
あたし妙に納得してたんだ ぼんやりした頭の隅っこで
ああ だからなのか
急にサヨナラを告げられた時 上手に笑って手を振れたのに
あの日から 痛くて痛くてたまらない
君にもらった深い傷から とめどなく流れるのは 透明な血
あの人の空っぽな瞳に 割り込みたくて
幾度となく「わたしのどこが好き?」と訊ねた
「全部だよ」って ふかす煙草の向こう 笑って
どうして目が泳いでるの?
膨らむ不安の塊は カシスソーダと一緒に呑みこんだ
ああ だからなのか
いびつな無数の言葉達が 体中 爪立て暴れてるんだ
吐き出せなかった 失うのは怖かった
今も残る傷から溢れる涙は キレイだから余計に泣けた
いっそこの眼から流れてくるものが
真っ赤な血液なら 君をもっと困らせたのに!
ああ 輝ける無色透明の雫は
疲れ果てたあたしを 優しく覆ってゆく
愛なんてもううんざりだ!と嘆いても
君にもらった傷がやがてかさ蓋になり 消え行けば
懲りずにまた探すよ カンペキな愛を
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