miolly

風鳴 – miolly

君が部屋を飛び出した 追いかけるのを躊躇う
時計の針はそのまま 漂うのは残り香だけ
見慣れない場所に来た 夕焼け 丘上 影二つ
黙ったまま腰を下ろす 隙間吹き荒んだ風一つ
名前を呼んだって 返事はないから
風に触れた そうか、僕は、さあ
今だけはずっと吹き荒らせ 君の頬乾くまで
雲を呼んで雨に隠そう 跡も残さずに飛ばそう
今だけはもっと吹き荒らせ この空乾くまで
君を探せないように 影を残さないように
しがみついた君だけはここで待ってられるように

君の顔が蘇る 悔しそうに笑う顔が
風が止む我に帰る まだ腰は重いままで
見慣れた街は煩くて 逃げ込む路地裏影一つ
何気ない段差に躓く 僕を見て笑った花二つ
明日を待ったって 返事はないから
風を待っていた そうか、僕は、さあ
今だけはずっと吹き荒らせ僕の頬乾くまで
雲を割いて空に立とう 空に立って風を纏う
今だけはもっと吹き荒らせ あの空届くまで
誰も気づけないように 誰も残さないように
しがみついた君が残した袖の温度さえ

乾いたんだ 君の頬も
乾いたんだ この空も
やっと笑えそうなんだ 風の中で僕たちさ
吹かれたんだ 僕らずっと
疲れたんだ 風が止んだ

いや まだだ!
全部吹き荒らせ 何もかも全て
雨なんかに隠すなよ 跡も残していいだろ
さあ、全部吹き荒らせ 僕らもっと遠くへ
君を見つけたんだよ 影を重ねたんだよ
辿り着いたその先で僕らずっと風に鳴こう

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