混じり気のない白に
1人分の影が写る
どこまで歩いたって
影の形は変わらない
雪に夕の光芒が混じって来た頃
一寸だけ目眩がした
雲の僅かな隙間から顔を覗かせる太陽は
それにとってはほんの一部の光で唐紅の空を描いている
それがとても暖かくて
一寸だけ目眩がした
気づかないうちに
季節が移り変わっていた
どのくらい歩いたっけ
いつもの帰り道のはずだけど
先に見えるバス停には人っこ一人いない
一寸だけ風が吹いた
空の僅かに余っている雲から降りてくる雪は
ありのままの姿を見せた太陽の光と混ざりあい輝く
それがとても美しくて
一寸だけ涙が出た
久しく見たあの風花は
遠い匂いだけを残して私の記憶に咲き続ける
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