「僕は男でも女でもないんだ」
君はそう、話し始めた
「世界遺産である僕をどこに置いておこうか?」
確かに君は世界遺産だった
君の瞳、体、声、その全ては
吉祥寺の思い出横丁
螺旋階段の踊り場
どこでもないところに置いておこう
どこでもないところに置いておこう
「私は動物でも植物でもないの」
君はそう、語り始めた
「唯一無二である私をどこにしまっておこうか?」
いかにも君は唯一無二だった
その絶え間なく溢れる愛は
新宿のハーモニカ横丁
屋根のある海の上
どこにもない場所にしまっておこう
どこにもない場所にしまっておこう
折り紙を折りながら歌い
回ってきたプリントを止めて
スポンジの肌を潤す
乾いた絵の具で髪を染める
開けちゃいけない屋上の扉
君はそこで輝いていた
ぬるい気温の日が差して
あたたかいその手に花が咲く
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