夜ハ短シ

  • 今日も生きるのだ – 夜ハ短シ

    始めから 行き先なんてありそうでないもの きっとそうだろ心から知りたいことはいつも いつまでも 風の中 どれだけ歳をとっても変わらずにいられるかないたいもんだな 大切なものがふえたな捨てられないものがふえたもんだなそれなのに気がつけば一人になるなあたたかい毎日なのに一人になるな 胸の中 もう何もないようなそんな気がしてしまったんだでも それでも昨日を許して 明日を信じてそんなふうにして今日も生きる…

  • ドーナツとコーヒーとチョコレート – 夜ハ短シ

    ずいぶん長いこと 布団に潜っていた僕は君からのメールで ゆっくり這い出した冬の終わり 玄関のドアノブにかけられた紙袋にはドーナツとコーヒーとそれからミルクチョコレート 甘くて苦い だけどまた甘いこらえたけれど少しこぼれたよ真っ暗な部屋で僕を抱きしめるそんな優しい味でした そうだよないつまでも 腐ってるわけにはいかないよな窓を開けて 風を入れるもうすぐ春になるんだな いつかの少年が夢に見た世界ではな…

  • 灯台にて – 夜ハ短シ

    失くしてしまったようで探し続けているけどずっとここにあったなんて可笑しいね 憧れはいつでもそのままで美しいのに近づくたび悲しくなるなんて可笑しいね 形はない理由もない花は咲いてただ揺れている 名前のない風を見つけて小さく手を振ってみたけど本当は名前があるものさ知らぬだけ 何も教えてはくれない言葉は意味を持たないそっと寄り添うように見てるだけ 形はない理由もない胸をよぎる遠い記憶だけ ただ揺れている…

  • そして強く抱きしめて – 夜ハ短シ

    あなたが秘密の言葉を言ったその日まるで蠢くように夜はうたったあなたは何か悟りを得たように穏やかな顔 強い風が吹き 空は輝いていたまるで何かを知っているように 輝いていた窓辺の椅子に座って祈るよりも手を握りしめた さよならでも手は振らないよ愛する人よ また逢う日まで 新しき春よ 群青の夏よ切なき秋よ ぬくもりの冬よ形をなくすことは 形造ることと同じ流れてゆく川と何も変わらない 悲しみに打ち砕かれそう…

  • 台湾旅行記 – 夜ハ短シ

    踊る人 うたう人 寡黙な人泣いてしまった人 いつも忙しい人 歩く人 走る人 怒る人 怒られる人強い人 弱い人 おもちゃ箱を覗き込んだら本当は宝石箱だったんだいろんな色で いろんな形でそれぞれの輝きを放ち始める 内気な人 強気な人肯く人 ひょうげんする人お酒を呑む人 お酒を呑まない人 やさしい人それは強い人強く生きる人 言葉でなくちゃ伝わらないことがある言葉だけじゃ伝わらないことがある言葉よりも伝え…

  • 夜は短し – 夜ハ短シ

    つかの間の夢を見ているだけだよでもすべては君のために用意されていたもの可能性は降りそそいでいる いま この瞬間を奇跡と呼ばずにいったい何を奇跡と呼べばいいの君がここにいることそれだけで奇跡なんだ そっと目を閉じて振り返った今日に君は泣いたの?それとも笑ったの?きかせて 何もかもあるようで何一つ 無いんだよ見極めて つかまえて 君の手で離さないで 闇の中にしか光はないのさ君は旅立ちを決意する心配はい…

  • 木々を揺らす風のように – 夜ハ短シ

    もう戻らない暮らしの隙間から手を振るあなたを見た何か喋っているのだけどついに声は聞こえない あぁ 帰ろうあたたかい家に帰ろう誰にも言わず心の奥にしまったまま いつか私にも解る時が来るでしょう手を振るあなたのこと今は解らない 解らないままでいい愛する者のため 働こう 食べようあたたかい食事にしよう満たし尽くそう 心の隅々まで まるで音のないモノクロームの映画のようどこか哀しくて美しい穏やかで騒がしい…

  • 君と僕はよく似ている – 夜ハ短シ

    上り坂をのぼりきって下り坂を転げ落ちて水溜まりにはまったり気軽に笑ってみたり 君は何処からやって来たの?ここから何処へ向かうの?すれ違うその姿はいつかの僕によく似ている 午前二時のバスに乗ってたどり着くのは何年後裸になってわめいたり着飾っておどけてみたり この景色を忘れぬようにいらなくなった記憶を捨てる流れる今日に名付けよういったい何て付けよう 朝 目が覚める その奇跡に慣れ合ったのはいつからかま…

  • 曖昧 みんな ドリーマー – 夜ハ短シ

    夢だ夢だ 目覚ましが鳴っているそうさ 夢はみんな夢なんだ だけど今日も 夢をみるんだろうなそうさ 夢は誰もがみるものさ 曖昧になってゆく気持ちを 今夜人々はみな 胸元でそっと見つめ直す 曖昧になってしまった後悔を人々はみな 今夜も静かにお酒に混ぜて呑む 曖昧な生活に疲れた今夜夢を見るように 愛しい人をそっと想い浮かべる 曖昧な人生に倒れた今夜夢を見るように 幼き頃へそっと還ってゆく ほら みんな夢…

  • やさしさについて – 夜ハ短シ

    何をすればいいのかなんて何処に行けばたどり着けるかなんて動き出した列車の窓に映り込んだ景色はいつも通りだよ やさしさについて考えてる夜明けをイメージするように悲しみは胸の奥に焼きついて忘れることが出来ないまま 脆くてとても不安定だけれど力の限り走ってゆく謎は謎のままだねいま目を開けて次のラウンドへ 飛び込んで行く いつか海に還るんだってさその海からまた陽は昇るよ涙の昨日も 笑顔の今日もラララ…とう…

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