XIIX

like the rain – XIIX

傘は刺さぬまま にわか雨がまた 過ぎてくのを待った
そのうち乾くから あなたの我がまま 頷くふりをした

笑い声が今 遠くの方から 聞こえた気がした
思い描いていたのは 少しだけ違った 未来を辿った

ただ
伝え切れないまま一瞬に
忘れられないまま一瞬に
朝焼けに染まってしまうのはどうして
淡く儚いその一瞬に
あなたの全てに染まる気はないのに

傘は刺さぬまま ずぶ濡れになってた それはお互い様
当たり前の日々は 当たり前のことが 起こればよかった

思いは鼓動になって孤独になって
声にはならずに恋になった
触れた悲しみの数だけ
違った幸せに気づいていた

ただ
離れたくなるその瞬間に
忘れたくなるその瞬間に
眩しさばかりが浮かぶのはどうして
淡く儚いその瞬間に
あなたの全てに染まる 悔しいのに

私は花になって鳥になって
柔らかな朝を歌ってきた
風になって月になって
静かな夜を歌ってきた
一つだけわかっていた
私がどんな私だろうと
あなたが笑えばそれでよかった

ほら
離れられないと知る度に
忘れられないと知る度に
また恋に落ちてしまうけど許して
淡く儚いその一瞬に
あなたの全てに染まる気はないのに
雨の匂いがする

笑い声が今 遠くの方から 聞こえた気がした

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