suzumoku

週末 – suzumoku

「電車がホームに参ります」雑踏の中響くアナウンス
こんな景色どこにでもあるのだろう…

日々に疲れた少年が 背中丸めゆっくり俯いた
虚ろな目に浮かぶのは最後の場所
塾の帰り駅のホーム 人込みを掻き分けて飛び降りる
選び抜いたステージは線路の上

一瞬の静寂の後 巻き起こるざわめきに包まれて
走馬灯に酔いしれるままに 笑みを浮かべ 黒く消える

何を求めて 何を探して 何が怖くて 何から逃げたくて
僕らは今日も 錆びた思いを にわかに見送るだけ…

駅の前では弾き語り 真っ赤なギター掻き鳴らす少女
かすれだした声で歌う最後の曲
どこか物悲しいメロディー 絶望と希望が織り成す街
気付かない溜息さえリズムになる

誰も立ち止まることなく 歌い終えた体を傾けて
傷の消えない白い手首を 強くにらみ 声を上げる

何を叫んで 何を伝えて 何が憎くて 何が愛おしくて
僕らは今日も 慣れた言葉を わずかに繋ぎ合うだけ…

夜を彩るネオンサイン 隙間もなく並ぶ高層ビル
音も立てず瞬いた最後の星
今なら手にできた過去が 仕方ないと諦めた未来が
夢のようにぼんやりと空に揺れる

点滅する青い光 映り込む全てが敵に変わる
不意に溢れる熱い涙も 冷めた十字路の影に染まる

何を掴んで 何を落として 何が正しくて 何が間違いで
僕らは今日も 彷徨いながら 羨む幸せ 繰り返す悲しみ
週末が過ぎる 問いかけながら 思いを見送り 言葉を繋ぎ合い
確かに明日へ歩く…

「人身事故が起きました」喧噪の中響くアナウンス
こんな景色どこにでもあるのだろう…

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