suzumoku

  • ホープ – suzumoku

    流し台の水垢が 不摂生な生活を起き抜けの僕にだけ そっと警告してる寝癖も直さないまま 手に取るマッチとホープ煙まみれで作る珈琲 欠伸も混ぜて 「物が少ない部屋だな…」と 笑われてしまうけれどつい考え過ぎてしまう癖が 染み付いてるだけだろう バイト先まで15分 出会いなどは無いけれどポケットには気休めの希望 小さなホープ ゴミ袋をあさる猫 横取りを狙うカラスこれとよく似た事を 今朝のニュースで見たな…

  • アイス缶珈琲 – suzumoku

    適当な嘘でごまかして 仕事を抜け出して来たのさ 平日昼下がり気に障る先輩の愚痴に 次々課せられるノルマに 嫌気がさしたのさ普段はそれなりに真面目で あまり目立たない方だから 誰もとがめやしないロッカーに置き忘れてきた 缶珈琲が気になるけど まあ、どうでもいいや 誘われるように仰いだ空が今日だけは やたらと高くて広いのにそれを遮った人混みはただ 急ぎ足で下を向いてひたすら流れてる ポケットに両手をし…

  • ガタゴト – suzumoku

    朱色のリボン付けて 朝からお疲れ様今日も西から東まで 真面目にガタゴトそこの小柄なあなた なんとか乗れますよすし詰めは日常茶飯事 ご了承下さい 老若男女 細身に太身 運べるものは運びます 弱音一つ吐く事なく 真面目にガタゴト 敷かれたレールの上 夜までお疲れ様酒臭い輩にも慣れっこ 真面目にガタゴトそこの泣いてるあなた とりあえずお乗りなさい気持ちが落ち着く駅まで ご一緒しましょう 喜怒哀楽 汗水涙…

  • 街灯 – suzumoku

    「もしもさ、明日全てが滅びるならどうしようか?」夕日と歩きながら ふと君が問い掛ける「いきなりどうしたの?」と おどけて笑ってみても真面目なその横顔に 僕は少し立ち止まる 認め合いその時まで 二人生きれるのなら 迫り来る最期が どれほど暗くとも街灯が一つ また一つ 灯される日常を願うだけ 「私は、美味しいものをお腹いっぱい食べたい」と真面目なその横顔で 君はぽつりと零した 都合の良い事だけを 世界…

  • ソアラ – suzumoku

    ポリカーボネートに映る空が 余りにも綺麗過ぎて軋むグラスファイバの翼が ひたすらに愛おしくて 君は今日も風を探しては 夢の形を飛ばす 何度も 何度も 笑いながら腕を振りかざし指差す 指差す その雲の峰にまで届くように 眠りの中でも描くのは 思い通りのマヌーバ細長く白いコントレイルで 無限のマークを作ろう 君はゴーグルもかけないまま 音を越える速さで 何度も 何度も 軽やかに心を弾ませて踊るよ 踊る…

  • ストリートミュージシャン – suzumoku

    足踏みしてとるリズム 掻き鳴らして擦り減るピック両手にはにじむ汗 錆び付いたストリング遠ざかってゆく西日 背中に感じながら放つ僕らの歌声が 街に響き渡る 口には出せない無数の思いに誰もが苦しめられて 矛先を探している 笑われて罵られても目を伏せて 忘れようとしてる自分が悔しくて何を得られるとも知らず僕らは 気が付けば路上に立っていた 紙とペンを手放さずに ひらめいた途端にまるでパズルを組むように …

  • ライトゲージ – suzumoku

    外は雨だ 傘は一つだけ 僕の肩は随分はみ出る大きな僕の歩幅に合わせて 君はいつも少し早歩き 雑貨屋までの長い道のりに あの時程の愉しさは何も感じない ただ虚しいだけ ただ疲れるだけ サラサラ今日も街に 霧雨が舞い落ちるクタクタ僕は歩く 右手には閉じた傘 すぐに晴れて淡く虹が出る 君は僕を見上げて微笑む シャツに絡まる湿った風に あの時程の愛しさは何も感じない ただ切ないだけ ただむせ返るだけ ユラ…

  • 夜明けの雨 – suzumoku

    枕元に響く波のような音は 街を走り抜ける夜明けの雨僅かに開いた窓 入り込む雨粒 鳥の声が消えた目覚めの時 冷めた朝に慣れてどれくらい経つだろう 生まれて逝く夢も見送るだけ 走り去る雨は何処へ行き 誰の夢を覚まし消えるだろう 落ちた木の葉はまだ小さく緑色 暖かくも強く風が飛ばす 足元に映る空はまだ 陽の光を少し返すだけ 枕元に響く彼の様な音は 街を走り抜ける夜明けの雨僅かに開いた窓 入り込む雨粒 鳥…

  • 春の到着 – suzumoku

    何度この道を行き来して 両手を風にさらしたろう記憶の桜が散らぬよう この歌に託すことにしよう いくつもの夢の種を蒔き 予期せぬ嵐に悩まされ時に涙を浮かべながら 広過ぎる空を眺めたろう そうして今を迎え その瞳は何を捉えた? 君の町にも ここから見えない町にも 同じ季節は無事に届いている 語り出せば尽きない話 孤独に突き刺した傷跡光と陰を感じながら 一つ確かに大人になる そうして日々を歩き その心は…

  • 素晴らしい世界 – suzumoku

    都会を飾る真夜中の明かり「あれは残業の景色なんだよ」と君は眠そうに目を擦りながら独り言のように呟いてる 商店街のシャッターが閉まり終電車は最後の片道を重たそうにひどく軋みながら二人の影を瞬かせて消えた 帰り道 頭をめぐるのは 明日の不安ばかり駆け抜ける風の潔さが 羨ましくなるよ 僕らが見つめてる世界はいつまでも光も暗闇も抱え続けるから迷うことくらい 何度もあるさ涙が浮かんだら そのまま流せばいいよ…

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