水 – 熊谷ひろみ

母にだかれた　ふところはやわらか布団の　ゆりかごねどうしていますか　お母さん遠い故郷に　ひとりきり両手あわせて　両手あわせてごめんとつぶやくの孫の写真を　胸に抱

無駄に見えても　道草は次の一歩の　足慣らし遅れようとも　頑張れば他人(ひと)に追い付く　追い越せるのるかそるかの　大一番は引き分けなしの　人生勝負掛けた情けは　

心試しは　観音さまか何故にもつれる　恋の糸惚れりゃ焦(じ)れます　あなたに逢えば傘を持つ手　つねりたい雨にしっぽり　すみだ川羽根に羽子板　二つで一つ離さないよと

人を愛する　しあわせと一緒に覚える　切なさも吐息で曇る　手鏡を小指で拭いて　口紅(べに)をひく女は恋を　知ったとき初めて女に　なると言う他人同士の　所帯なら時に

口でどんなに　憎んでみても肌がいつしか　あなたを許す…苦労の味など　月日が経てば何にもなかった　ことになる男と女の　恋違い暮し壊した　あなただけれど尽くし足りな

どんな小さな　夢でもいいのこうして一緒に　見られたら浮草善哉　あなたと二人今日も流れに　漂いながら肩を寄せ合い　生きて行く背負い切れない　苦労の荷物残りは私が