宮本駿一

風穴 – 宮本駿一

赤い太陽が 少女のように頬染めて
冷めてゆく海に 唇 そっと寄せる時
二度と戻れない 昨日という彼方から
過ぎ去った愛の 欠片を乗せて 風が吹く

重なった痛みの波が
愛の核心さえも さらっていった

あんなに愛していたのに
もうあの気持ちは思い出せない
途惑い 揺れる波間を 夏が通り過ぎてゆく

そばにいたいと近付く程 見えてくる
失った愛の重さと 心の風穴
君は愛しい 今だってまだ愛してる
だけどもう 燃え続けてた炎は 見えない

追いかけるだけの恋に
いつの間にか 胸は血を流していた

あんなに愛していたのに
もうあの気持ちは思い出せない
かざした指の隙間を 風が通り過ぎてゆく
夏が通り過ぎてゆく
hmmm 通り過ぎてゆく…

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