十五少女

君が死んだ日の天気は – 十五少女

今朝 君が死んだ
僕は 朝食を食べた
今朝 君が死んでも
朝陽 は 昇った

空は雲ひとつ無く
電車は7時2分に来る
街は人で溢れる
誰も傘を持たず

君が死んでも 何も変わらない
誰も知らない 時計は止まらない
世界は君の死に無関心で
青空は 涙も流さない
だから、僕はせめて雨が降ることを
祈る。天気予報を見る。
目に焼き付ける。噛み締める。
声に出して叫ぶ。

晴れのち曇りのち静けさのち虚無(ニヒル)のち乾き
晴れのち侘しさのち無気力のち孤独
晴れのち切なさのち痛みのち悲しみのち雨
君が死んだ日の天気は…雨

今朝 君が死んだ
燕が 屋根に巣を作った
今朝 君が死んでも
菖蒲(アヤメ) は 青い花を開いた

君が死んでも 何も消えない
戸籍も消えない 税金の請求も消えない
カレンダーの君の誕生日も消えない(消せない)
だから、僕はせめて雨が流すことを
祈る。君の未練を流す。
過去を 夢を 苦しみを 思い出を
寂しさを 嗚呼…

晴れのち曇りのち悔しさのち怒りのち自責
晴れのち嘆きのち自暴自棄のち嗚咽
晴れのち諦めのち祈りのち微笑みのち雨
君が死んだ日の天気は
君が死んだ日の天気は…雨

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