須藤慎吾と椿姫

  • ひふみよ – 須藤慎吾と椿姫

    明日にむかってあるいて あるいてようやくたどりついたらそこが今日になる つきせぬ願望(おもい)は時代の風にふんわりとあずけてあたらしい朝へ つきてみよ 一二三四五六七八 九十十とおさめて また はじまるを 杣道(そまみち)をぬければ木々の隙間からやわらかにさす光が手をひいてくれる もうじき山の上か霞立つ空にあおくかがやく峰をさあ こえてゆこう つきてみよ 一二三四五六七八 九十十とおさめて または…

  • 祈り – 須藤慎吾と椿姫

    これ以上はほしくないわ願い事おおくて つかれたみたい 宝石箱を空っぽにしたらききあきたメロディ ながれてきえた 小雨けむるカフェ とおりすぎゆく人廂をみつけて テラスにつどう人 ああ もう二度とは背伸びしないわ自分にできる事 わかってきたの アルバムには一枚のこし思い出たち 菓子箱につめた 路地裏の坂道 くだっていく人ライラックみあげて 手をふり あるく人 ああ もう二度とは背伸びしないわ自分にで…

  • 砂時計 – 須藤慎吾と椿姫

    くびれ腰 ガラス瓶逆さまにかえすたびこぼれたり すりぬけてすべるようにながれゆく わたしにはよくわかるきた道をまたもどり なつかしのあの浜辺あなたとのあつい夏 空よりも風よりも星よりも海がすき波跡がかわいたら 白い砂まいあがってそして砂時計の中へ ――眠りからめざめる日はくるのだろうかあなたの掌にすくいとられそのほそい指の間から砂のようにこぼれおちていく 砂文字のメッセージ永遠にかわらないふるえた…

  • いま、嵐の中で – 須藤慎吾と椿姫

    嵐の夜ひびく だれか篠笛わたしの心はねむれないぬぎっぱなしの靴 ベッドにかくし裸足のままあける硝子ドア もう雨傘なんていらない嵐の中でおどる―― もう青空なんていらないいま、嵐の中でおどりいま、嵐の中でうたいいま、嵐の中でいきるだけ みだれた髪たばね 更紗バンダナわたしの心がめざめそうしおれた霞草 花瓶にのこし両手でかかえる白百合 もう雨傘なんていらない嵐の中でおどる―― もう青空なんていらないい…

  • フォルトゥナ – 須藤慎吾と椿姫

    Fortuna裸足のままとびだしたエナメルのサンダル指につまんで Fortuna羽のはえた靴だからすぐにでも空へとかけあがっていける 気まぐれ うつろう女神(ひと)カゴの鳥もいなくなったつぶらな瞳はなぜいつもわたしの心 置き去りにする Fortunaエスプレッソ のみほしたにがすぎる想いがあまくかんじる Fortuna底のわれたマグカップどんなにそそいでも こぼれおちていく 気まぐれ うつろう女神…

  • 月光のミューズ – 須藤慎吾と椿姫

    くるおしくこいして形なくもえはて月の光を指でなぞったまるでミューズの女神 今宵は曇り空コウモリもとばない空の上までいけるだろうか光の梯子(はしご)を―― いまにもきえそうですぐにはきえさらぬすてられた日々が埋ずみ火のようにまっかにくすぶる 何もいわず 何もきかず夢みながらともっている うつくしくわすれて音もなくわかれてかるい燃殻 指でつまんだまるでミューズの女神 雲間がのぞいたらわたしはのぼってい…

  • エズの扉 – 須藤慎吾と椿姫

    南吹く潮風の翼にはこばれていつの日かもう一度あの街をたずねたい 行きずりにであった人岩壁にスミレにおう空の迷路で二人かわした思い出がいまでもかけめぐる 裸足でのぼった石畳のすべりそうなやわらかい光で寝ぼけ眼の鳥たちにはきみの姿はみつけられない 南吹く潮風の翼にはこばれて居眠りの木陰にエズのあの扉みつけた 行き止まりにであった人屋根裏に灯りともる―― 迷路でひろっためくるめく鷲の羽さしておいた扉をあ…

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