羽山みずき

湯島の白梅 – 羽山みずき

湯島通れば 思い出す
お鳶主税の 心意気
知るや白梅 玉垣に
のこる二人の 影法師

忘れられよか 筒井筒
岸の柳の 緑むすび
かたい契りを 義理ゆえに
水に流すも 江戸育ち

青い瓦斯燈 境内を
出れば本郷 切通し
あかぬ別れの 中空に

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折鶴海峡 – 羽山みずき

海峡目がけて 折鶴を飛ばした日暮れの 恋岬(こいみさき)呼んでみたって 戻りはしない船のあなたに もう一度待っているわと 伝えてほしい群れ飛ぶかもめに 負けない

紅花慕情 – 羽山みずき

紅花(べにばな)摘む指 痛むからそろそろ来るでしょ 酒田舟(さかたぶね)想いを寄せても 届かぬと判っていながら 背のびして姉(あね)さんかぶりはエンヤコラ エン

千曲川 – 羽山みずき

水の流れに 花びらをそっと浮かべて 泣いたひと忘れな草に かえらぬ初恋(こい)を思い出させる 信濃の旅路(たび)よ明日はいずこか 浮き雲に煙たなびく 浅間山呼べ

からたち日記 – 羽山みずき

こころで好きと 叫んでも口ではいえず たゞあの人と小さな傘を かたむけたああ あの日は雨雨の小径に 白い仄かなからたち からたち からたちの花幸福になろうね あ

南国土佐を後にして – 羽山みずき

南国土佐を 後にして都へ来てから 幾歳(いくとせ)ぞ思い出します 故郷(こきょう)の友が門出(かどで)に歌った よさこい節を土佐の高知の はりやま橋で坊さんかん

鴛鴦道中 – 羽山みずき

堅気育ちも 重なる旅にいつか外れて 無宿者知らぬ他国の 黄昏時は俺も泣きたい ことばかり染まぬ縁談(はなし)に 故郷をとんで娘ざかりを 茶屋ぐらし茶碗酒なら 負

わたしの城下町 – 羽山みずき

格子戸をくぐりぬけ見あげる夕焼けの空に誰が歌うのか子守唄わたしの城下町好きだとも云えずに歩く川のほとり往きかう人になぜか目をふせながら心は燃えてゆく家並がとぎれ

恋は神代の昔から – 羽山みずき

恋をしましょう 恋をして浮いた浮いたで 暮しましょ熱い涙も 流しましょ昔の人は 言いました恋はするほど 艶が出る恋はするほど 艶が出る無理も道理の ひとつですグ

大器晩々成 – 羽山みずき

不器用まるで 絵にかいた言葉少ない あなたです世間の人には 見えないが私に見える あなたの明日やっと出番が やって来た大器晩成 その上を行く天も味方の 晩々成人

雪んこ風唄 – 羽山みずき

深い雪でも 春になれば消えるなのに消えない 恋の傷あと不意の別れは こころ変わりですかなにも言わずに 罪なひとです雪んこ雪んこ 風になれ雪んこ雪んこひとり童歌 

酒田カモメ唄 – 羽山みずき

酒田港(みなと)の 黄昏時は白いカモメも 夕日に染まるすねて甘えた 倖せが海の向こうで 燃えてます好きで 好きで 好きでたまらぬあの人をカモメよ どこに運んだの

いのち舟 – 羽山みずき

ひとりでなんて 渡れはしない苦労うず巻く 世間川逢えてよかった あなたに逢えて運命(さだめ)も味方の いのち舟ヨイショ ヨイショと 漕ぎながらわたし わたし見せ

古いタイプの女です – 羽山みずき

みんながやめろと 言ったけどあなたと一緒になれましたなんのとりえもありません古いタイプの女ですそれでも愛してくれるならついてゆきます あなたの夢にふたりで向き合

ひとり鍋 – 羽山みずき

木枯しひゅるひゅる 泣いてますお鍋がフツフツ 煮えてますおひとりさまの お鍋ですこころが寒く なる夜はなぜかお鍋に するのです好きでした あなたのことは何もかも

ふるさとのはなしをしよう – 羽山みずき

砂山に さわぐ潮風かつお舟 はいる浜辺の夕焼けが 海をいろどるきみの知らない ぼくのふるさとふるさとの はなしをしよう鳴る花火 ならぶ夜店に縁日の まちのともし

りんどう峠 – 羽山みずき

りんりん りんどうの花咲く頃サ姉サは馬コで お嫁に行ったりんりんりんどうは 濃むらさき姉サの小袖も 濃むらさき濃むらさきハイノ ハイノ ハイりんりん りんどうの

京都慕情 – 羽山みずき

あの人の姿 懐かしい黄昏の河原町恋は 恋は 弱い女をどうして 泣かせるの苦しめないで ああ責めないで別れのつらさ 知りながらあの人の言葉 想い出す夕焼けの高瀬川

知床旅情 – 羽山みずき

知床の岬に はまなすの咲くころ思い出しておくれ 俺たちの事を飲んで騒いで 丘にのぼればはるかクナシリに 白夜は明ける旅の情か 酔うほどにさまよい浜に出てみれば 

あなたの妻と呼ばれたい – 羽山みずき

お酒のしずくで つづけて書いたあなたの苗字と わたしの名前愛しても 愛しても 愛したりない女ごころは うるさいですか今は夢でも いつかあなたの妻と 妻と呼ばれて

妻恋道中 – 羽山みずき

好いた女房に 三下り半を投げて長脇差(ながどす) 永の旅怨むまいぞえ 俺らのことはまたの浮世で 逢うまでは惚れていながら 惚れない素振りそれがやくざの 恋とやら

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