羽山みずき

港が見える丘 – 羽山みずき

あなたと二人で 来た丘は
港が見える丘
色あせた桜 唯一つ
淋しく 咲いていた
船の汽笛 咽(むせ)び泣けば
チラリホラリと 花片(はなびら)
あなたと私に 降りかかる
春の午後でした

あなたと別れた あの夜は
港が暗い夜
青白い灯り 唯一つ
桜を 照らしてた
船の汽笛 消えて行けば
キラリチラリと 花片
涙の雫で きらめいた
霧の夜でした

あなたを想うて 来る丘は
港が見える丘
葉桜をソヨロ 訪れる
しお風 浜の風
船の汽笛 遠く聞いて
ウツラトロリと 見る夢
あなたの口許 あの笑顔
淡い夢でした

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