tayori

  • 方舟 – tayori

    すずろな雨が降る 冱てる夜に孤独を抱いたあなたと出逢った交わした眼差しの深いところ灯すように理想郷を夢見る 光差す海を方舟で渡って長い夜の向こうへ どんな姿だとしても隔てなく息が出来る場所生まれも言葉もまるで絵画のように千の色が合わさって流れゆく景色を彩ればあなたを嘲る罵声はもう聞こえない 俯き恥じるのは容易くて誇ることはこれ以上無く難しい 違ってもいい そう思えるようにあなたを愛するあなたでいて…

  • 月の唄 – tayori

    知らない街の音に耳を澄ませ夜の風がそっと日々を掠め取っては気のないふりで背を向けた箱庭に君だけの温度がただ確かにあった 行き先はもう照らせないサテライト辿った道のりに輝きを求めて飲み干したはずのガラス瓶の底傾けて零した一滴 真夜中を走る自転車どこへも行けないまま手を伸ばした 一等星が光る夢を見た体今でも君に会いたいと漂っては浮かんでいる消えない光がずっと側にあることまだ憶えていてきっと交わることな…

  • ゴースト – tayori

    ひとりぼっち あてのない亡霊君の街をさまよう夢にまで見た再会のフェーズ鮮やかによみがえる 鳴り響く 乾かない号令弾けるような走馬灯どんな顔の君に会えるのかな話したいことばかりだ 言い残した言葉なんて一つも思い浮かばないから君のことほんのちょっと笑わせたくてさ 何度また僕は君を探して出逢う度に恋をする胸の中生きたままの心がどうしようもないや君を求めるから ふたりぼっち 騒がないパレード夢を見てるよう…

  • 魔法 – tayori

    続く日々を彩る魔法を 瞬く日々の燦めきを取り零さないように 書き留めるように翳る陽だまりを掬えば深く落ちる影も彩りに変わる どんな言葉に人に出逢えるのかな真っ直ぐなその瞳は夢を馳せてゆく 百年先も消えないようなその想いの輝きがすれ違う誰かの俯く夜を照らしていつかきっと巡るようにその光はあなたのもとへ届くから続く日々を灯していてよ ため息すら飲み込んでしまうほど息の詰まる夜をどう明かせばいい声に出せ…

  • 琥珀の国 – tayori

    花模様のレース越し二人見てた海の向こう夢から醒めるみたいに潮風が花を散らした 決して触れられないなら身を引くこと 正しさと呑んで大人になろう 波が立つ心を伏せて 嘘で隠しただけどどうにも遣り切れないまま 思い出す 琥珀の海を彼の話す 長い夢を時を撫でるように 全てを愛したこと夏を背に失くした温度を 暮れる空に 浮く明け星曇った目で眺めている大人になるってことは悔いを重ねるってことみたい 空いた穴を…

  • 薔薇の下で – tayori

    夜に浮かぶ月を仰いで満ちた虚が頬を伝う揺らぐ声は遠く聞こえはしない衰えてゆくその身では 人知れぬ逢瀬は 熟れた薔薇の下でいたずらな運命に解かれた脆い日々の温みに焦がれてる 花惜しむ心詠って撫でる風にあなたを憶い出すの季節が移ろうとも褪せぬこの約束を抱いてどれくらい時は経つだろう 空の青さも 星の瞬きも全てあなたが教えてくれた満ちていくことが 失うことを意味しても幾度と荊を選ぶのでしょう 静寂を忘れ…

  • 可惜夜 – tayori

    ずっと遠くに感じていた胸の奥の騒めき夜の熱に浮かされて想いは馳せる 花も恥じらうような人その心を奪えたなら 誰にも障れない空想の彼方君を攫ってなんて想像している叶うなら神様って僕はただ期待して眠れないまま夜に耽る 忘れようとしたって ずっと消えなくて呪いのように 燃ゆるように胸の奥を焦がしていく その瞳を その声を 憶えている 繋ぐ手を探り合った 二人だけの夜を月が照らした嘘を見抜けないまま叶うな…

  • ポケットサイズロケット – tayori

    虹の端に乗っかってスキップ一つで渡っていく少しだけ足が竦みそうどこまでも続いている頭の中の世界は誰にも奪えない分かち合うこともない まどろみの中で鳴り続ける誰かの声が僕を呼んでいる空へ一直線 さぁゆけ僕のロケット小さなポケットを飛び出して高く浮かんだほうき星と一つになろう夢はいつだってノンフィクション呆れるくらいがちょうどいいいつでもひとっ飛びで行ける僕だけの銀河へ 宝石とメランコリック長靴とお日…

  • 遠雷 – tayori

    夕暮れ 伸びた雲の背 立つ風は微睡む明け方に似た空の色を揺らすただ低く地を撫でるように飛ぶ鳥の運ぶのは雨の匂いか 明日の行方か立ち昇るペトリコール咽ぶような夏の面影空に落ちた呼吸の礫弾けた雲間を眺めていたいつか二人がまた出会えたならただ話そう 他愛もないこと 夏暁 錆びた高架線 青い空なぞるように思い出せたらまた出会いに行こう長く伸びた影一つはぐれた足跡が二つ空を游いだ光を辿って見つけた暗闇の待つ…

  • 砂の城 – tayori

    花は濁って海へと向かう過ぎた日々の青さだけ残して散りゆく夜は実って月は満ちていく熟れた緋色の綻びを誰かが摘み取って 涙一つ 声を枯らして誰にも届かない唄を詠む闇の中響く音はその終わりを知っている もう二度と戻らない移りゆく時の中で君だけをただ見つめた悪い夢に見た光を 風は薫って彼方で燃ゆる旅立つ日の面影を今でも思い出す 涙一つ 海を渡って流れる雨となり芽を宿す花開くその季節の木漏れ日を想いながら …

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