saji

ハナビノウタ – saji

夕焼け落ちて
ハルニレの木々を照らす
君が待つ北口のバス停は
いつもより
混み合っていて
はぐれそうな
君の右手 掴みながら
揺れる街の灯かりを背に
僕らは夜へと走る

川沿い 人の波をよけて
火薬と縁日の匂いが
立ち込める喧騒の中
君だけを見ていた

花火が僕らの夜を染めて
思い出を描いていく
いま頭の中はずっと
君のことばかり考えていたんだ

夜の帳 白樺の木々を抜けて
帰り道 明日の今ごろは
いつも通り
なんてことない
僕らはただの友達だろう
震えながら
揺れる街の灯かりを背に
僕らは夜へと走る

明星の橋 行き交う声と
眩い三原色の光が
消えていく幻想の中
君だけを見ていた

花びら舞い散る夢の中で
思い出を紡いでゆく
いま君は誰を想って
どんな景色を見ているのだろう

川沿い 人の波も消えて
微かに鳴いている虫の声と
言えなかった僕の想いだけが
空に響く

花火が僕らの夜を染めて
思い出を描いていく
また来年の今ごろも
君と観れるように

花火が僕らの夜を染めて
思い出に変わる前に
今しか言えそうにないよ
世界で一番君が好きなんだ

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