夏、消息不明。
太陽の熱に干上がった僕らの今日が、
コインランドリーの日陰で、ペットボトルを片手にうな垂れていた。
夏、消息不明。
猛スピードで4号線を走り抜けた僕らの悲しみは、
情熱の揺らぎによく似た陽炎にスリップして横転。
廃車置場の片隅に放置されていた。
夏、消息不明。
ここ数年姿をくらましていた、僕らのいつかの夏が、
廃ビルの非常階段にもたれながら、タバコを吹かして
「夏が近いな」なんて言った。
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朝 目が覚めたら 雪が降っていて曇った窓こすって しばらく見ていたよあなたの居ない世界は 寒くて嫌いだな子供みたいに愚痴って 僕は家を出る変わらない日々に 何を
冷笑の365日にずぶ濡れのコンビニ傘が土にも還らずゴミでも非ず モノでも非ず役立つでも無く 邪魔するでも無く昼はカラスに啄ばまれ夜には星座を睨みつけ磔にされた街
家賃6万のアパートで僕らは世界を旅する燃える都市 干上がった運河 呆然と立ち尽くす老人僕らのワンルーム叙事詩は無線LANで 半永久的に加速するその遠心力で横転し
僕らは順応しない 僕らは反省しない 僕らは戦争したい約束は出来るだけしない 百貨店の下着売り場は暗い反政府ゲリラ組織に入りたい 無秩序の無こそ知りたい僕らの溜息
古びた団地の陰が伸びる 荒れ果てた花壇飲み込む子供がペンで書いた墓標 吹き曝しの無常に花も咲かねぇ風来のカラス水遊び タクシー会社の駐車場錆びたフェンスが路上に
今夜生まれてくる命と 死んでしまう命そして懸命に輝く命と 無駄に生き長らえる僕「こんな夜は消えてしまいたい」とよく思うけれどお前なんか消えてしまえ 何で今日まで
小さな雪の粒も積み重なれば 景色を変えるのは不思議ですねどうしようもない日も積み重なれば 年月となるのは残酷ですね僕が真夜中の部屋で一人 今年の懺悔を始めた頃遠
君はまだ覚えてるかな 幼い頃の暑い六月廃線になった線路を 僕等はどこまでも歩いた乗り気で水筒なんかを ぶら下げてきた雅敏はおじちゃんに買ってもらったマウンテンバ
どうかあの娘を救って地球が落とした暗幕に 星座の落書きをする子供達はコンクリートのベッドでアフリカゾウの夢を見る輸送トラックの荷台で悪路に身を揺らしながら廃墟に
干からびた栄光が 国道沿い 血も流さず潰れているぜ欠陥だらけの僕らの 苦悩もこれまた無残な廃品歌にしたって誰も聴かないし いまだに金にもならねぇし今日も夕焼けの
木造アパートの一階で 彼は夢中で絵を描いていた描きたかったのは自分の事 自分を取り巻く世界のこと小さな頃から絵が好きだった 理由は皆が褒めてくれるからでも今じゃ
愛など無い知らない 謎解けない吐きたい 雪溶けない吐けないプラスチックの天の川が 汚染ゆえに遊泳禁止アダムとイブが風俗ビルの空き屋に住むって現世の虚無終電後の下
その時の僕らはといえば ビルの屋上で空を眺めているばかりバイトを抜け出し 汗と埃にまみれた 取り留めのない夢物語互いに抱えてるはずの ちゃちな不安は 決して口に
僕は泥棒 昔の話 話半分は酒の席のご愛嬌真に受けるなよ 本気にするなよ 今となっては笑い話の類僕は泥棒 中野のアーケード 雨宿りの振りして品定めの日曜色とりどり
過去の連なりのくるぶしに できた青痣を青春と名づけてそれをまるで仇のしるしみたいに 夜になる度撫でて想いは晴れたか? もういいよ何も憎まず 心に歌を多くは望まず
くそ暑い新宿のど真ん中でふいに眼球にしがみ付く映像浮浪者が口ずさむ名も無き歌は 不穏な流れ弾みたいにキャバクラの女が乗ったタクシーに下敷きの社会性に命中遺失物係
空白みたいな 何もない空を ずっと眺めていたら全部がもうどうでも いいやって思えて来るんだよ ちっぽけな悩みも僕が生まれた 僕が生きてる 街の空悩み出したら き
思えば僕はずっと僕の事 嫌いだったんだ そんな事 忘れてたよ何でだろう 多分あなたに出会ったからです思えば僕はずっと人のこと 疑ってばかりいたよな相変わらず笑う
冬が来る前に 夜半の波止場でビールを飲もう星座の肩に腰掛けて 溜息も潮風も似たもんさ冬が来る前に 三保野公園で草滑りしよう水飲み場の横の柱にさ これまでの失敗も
灰の歌 才能不在 哀悼弔い常磐線下りのホーム 電線にとまるカラスの憂鬱それを見ている彼女が抱える笑い飛ばせない 日々の 憂鬱毎日同じ繰り返しだけどもう子供じゃな