空大樹

  • 流氷物語 – 空大樹

    能取(のとろ)岬を 流氷廻りあなたの船は 港へ帰るみぞれまじりの 冬海(うみ)景色窓の外は 雪時雨あなたの手紙カバンに入れひとり列車で 石北線(せきほくせん)に…遠く海鳴り聞いてあなた追って こころ吹雪(ふぶ)く旅路(たび)の果て オホーツク 能取(のとろ)岬に 海が明けるあなたの船は 港出て行く霧笛こだま 北の海窓の外は 花時雨あなたを残し置き手紙ひとり列車で 読み返しては…夢を追いかけまた旅に…

  • 愛のスペアキー – 空大樹

    震えるグラスに そそいだ愛が今も私を 縛っているわ窓の外には 白い夜景が切なさこぼれる カウンター時計気にする 仕草今でも心に涙を つれてくるのよ私に鍵を かけたのあなたねぇまた此処(ここ)に 戻ってきてよ頬杖(ほおづえ)女の ひとり呑み 吸えないタバコの 煙でさえも今は私が 欲しがっているわあなた今頃 何処(どこ)で何をして逢いたい 逢えない 寂しいよお店のJAZZに 夜の帷(とばり)が音に紛れ…

  • 船見坂 – 空大樹

    番屋の並ぶ 海岸(うみ)通り夕陽落ちて 天(そら)焦がす明かり灯(とも)る 板張り飯屋あのころ流行(はや)りの 歌を聴く男は過去(むかし)で 酒を飲み女は未来(あした)の 酒を酌む夜霧が濡らす 石畳港 小樽 船見坂 カモメが騒ぎ 起こされる運河通りの 安宿で沖航(わた)る船 石狩の浜夢はかげろう ニシン船男は過去(むかし)の 海眺め女は未来(あした)の 海を見る色あせた 絵葉書に港 小樽 船見坂 …

  • Family~幸せをありがとう~ – 空大樹

    夕陽が照らす 海沿いの道を手をつなぎ歩いていると 眩しい笑顔ただそれだけでしあわせが 溢れだすやわらかい波の音そっと光と風に 乗せて奏でる見なれた景色に影法師夕焼け小焼けと口ずさみあの日の想い出よみがえる家族のぬくもり いつまでも… 思い通り いかない日々もただそばで見守りつづけ 育ててくれた大きな愛を忘れない 親ごころあたたかい街の灯りがこころ抱きしめ 涙ほほを伝うやさしい笑顔が「おかえり」と待…

  • 北海漁師節 – 空大樹

    海猫(ごめ)が呼ぶから オホーツク海へ船を乗りだしゃ 流氷とける北の海明け 漁師(おとこ)の舞台明日は大漁の 網を曳くヤーレン ソーラン 一番船だ俺も兄きも ヤンサノエ…腕が鳴る ゴムの合羽に 鉢巻き締めりゃ惚れたあの娘(こ)が 波間に消えるここは最果て 荒くれ海だ意地と度胸で 勝負するヤーレンソーラン 情けはいらぬ俺も兄きも ヤンサノエ…仕事場さ 凍りつくよな カムチャツカ沖は親の苦労が 肌身に…

  • かあちゃん – 空大樹

    最後にかあちゃんと 話しをしたのは木枯し吹き荒れる 二月半ばの寒い夜小さなかあちゃんが ひび割れた手で背中丸め寒い中 おれに酒買うて来てくれたそんな優しいかあちゃんが風邪を引くなと寝る前に湯たんぽ入れてくれたのに口を閉じて冷たくなったのは粉雪ちらつく 夜明け前だった いつもかあちゃんは 素顔のままだった通夜(さいご)の夜はおれの手で 薄化粧させてくれいつもかあちゃんに 苦労かけてきた最後に紅をつけ…

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