真木ことみ

幾・春・秋 – 真木ことみ

秋雨 夕暮れ すすきに隠れ
鈴虫そっと 雨宿り
街角ポツリ 明かりが灯る
今宵も誘われ 酔い話
酒に 酔いしれ 夜が更けて
そんな 女 一人の 人生よ

戸棚の 片隅 重ねた写真
あの日の未練 よみがえる
このままずっと 添い遂げようと
結んだ小指が 泣いている
春を 待ち侘び 過ぎた日々
そんな 女 一人の 人生よ

白雪 かぶった 椿の花は
散りそで散らない 夢見花
平凡だけど 倖せ想い
幾つも山坂 越えて来た
やがて 誰かの 道標
そんな 女 一人の 人生よ

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相縁坂 – 真木ことみ

胸にこたえる この世の辛さ男でなくても 判りますあなたの夢の 荷車を後押しさせて 私にも登り切りたい 相縁坂をふたり出逢った この坂をそばにいてくれ いつでもそ

酒の舟 – 真木ことみ

酒よ判るか 淋しさが判ればあの人 連れてきて死ぬ程惚れて 何故添えぬいつも不幸の くじを引く逢いたいよ 逢いたいよ 逢いたいよおんな とまり木 酒の舟もしやあな

惚れ化粧 – 真木ことみ

男はかもめ すいすい飛んで女は港 待ってるなんてどこのどなたが きめたことやらあぁ 勝手なものね彩どりどりの 口紅ならべ風の音にも 戸を開けるくる こない くる

こころ舟 – 真木ことみ

時代遅れで いいのよと涙うかべて うなずくおまえ愛だ恋だの がらではないが命あずける 女はひとり惚れた 惚れたよ 憂き世の川で紅い契りの こころ舟冷えて今夜は 

恋満月 – 真木ことみ

忘れなければ だめですか追って行くのも 罪ですか焦がれる想い 断ち切れず手持ち無沙汰に 紅を引く抱いて 抱いて 抱いて 私を抱いて満ちてくるのは 月ばかり窓辺に

酒なさけ – 真木ことみ

夢のにがさに 耐えきれず今夜もお酒に 逃げるひと身体をこわすわ もうやめてこんな私で 良かったらあなたのささえに なりたいの酔えば強がり 云うけれど本当は誰より

春よ来い – 真木ことみ

あなたと連れ添い 生きてくためにそうよ生まれて きたのです冬の寒さも 世間の木枯(かぜ)も耐えてゆけます ふたりなら春よ来い 早く来い幸せつれて 春よ来いおんな

まこと酒 – 真木ことみ

先の苦労は 覚悟の上といつも笑って ついてきたすまないね すまないねおまえ すまないねそんな俺にも 明日が見えるせめて交わそか まこと酒他人にゃ判らぬ おまえの

いのち川 – 真木ことみ

広いこの世で あなたの胸がつらい心の よりどころ泣かせないでね これ以上何もいらない あなただけ愛を下さい愛を下さい 命をあげる好いた惚れたは 初めのうちで今は

なでしこの花のように – 真木ことみ

なんにも苦労を 知らない他人(ひと)に女の心が わかるでしょうか夢の夢だと 笑うけどいいのあなたと 夜風に耐えて咲いてみせます この恋をなでしこの花のように… 

父さんのマフラー – 真木ことみ

父さんの 形見のマフラーそっと首に 巻いてみる抱きしめられた 思い出と優しい笑顔が 目に浮かぶ時にはけんかも したけれど大好きでした お父さん働いて 育ててくれ

海峡のおんな – 真木ことみ

生きるか死ぬかの 恋ひとつあなたはあっさり その恋すてた意地があります わたしにも生きてみせると 笑ったけれど泣きたくなって 船に乗るあまえて暮らして いたころ

雨女・雨男 – 真木ことみ

いつも私は 雨おんないいえあなたが 雨男着物に着がえて あなたと逢えば思いがけない 通り雨雨もいゝねと 袖すり坂を相合傘の ふたりでした愛の深さで けんかしてお

石蕗の花 – 真木ことみ

葉陰にそっと 身を寄せて咲いて淋しい 花ひとつ人に言えない 恋をして今日もあなたを 待ちわびるいいの時々 逢えたらいいの露地に咲きます 石蕗(つわぶき)の花迷惑

雨の酒 – 真木ことみ

忘れられない あの人を忘れたふりして 生きている今夜だけ 飲ませて下さい もう少しひとつため息 つくたびに心痩せます 雨の酒愛が覚めたと 言われたら身を引くだけ

一・二・三の人生あかり – 真木ことみ

ひとつひとりで 夢を追うひとりぼっちが 好きになるふたつふたりで 支え合う人という字が 読めてくる夢あかり 恋あかり 心あかり一(ひい)・二(ふう)・三(みい)

恋文川 – 真木ことみ

紙の舟には 櫂(かい)はない流れまかせで 梶(かじ)もないそっと浮かべる 短冊におんなごころを 添えましょう恋しいあなたの あなたの胸に着け恋文川は 渓流(たに

俺に咲く花 – 真木ことみ

花びらみたいな ほほ笑み浮かべ心に明かりを 灯すやつあなたと出逢えて よかったと胸に甘える いじらしさ俺に咲く花 泣かせるやつだよ支えてやらなきゃ 倒れるような

ふるさと忍冬 – 真木ことみ

水いろ手袋 頬寄せて遠いふるさと しのびます冬に命の 根を伸ばす庭に咲いてた 白い花心こごえて しばれても母の花です ふるさと忍冬(すいかずら)不倖に負けず 嘆

一路出世船 – 真木ことみ

マグロの嫁さん もらえばいいとふくれっつらして ひじ鉄砲沖の修羅場は 恐れぬがおっかねェのは あの娘の涙…そんな言い方 な・に・ぬ・ね・の俺はお前に は・ひ・ふ

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