各駅停車 – 猫

あの女ともう二度と 旅をすることもない
窓に頬あてて さよならを言った

各駅停車の汽車は今 想い出の街を出る
僕の微笑が 歪んでいるのは
降り出した 雨のせいじゃない

鉄橋が見えてくる あの街が消えていく
あの女の住む街が たそがれに滲む

各駅停車の汽車だけが 振り返ることもない
僕の微笑が 震えているのは
消えそうな 思い出のせいじゃない

この駅は淋しくて 訪れる人もない
なのにただ一人 悲しみのさなか

各駅停車の汽車を降り 口唇かみしめる
僕の微笑が凍りつくのは
降りだした 雪のせいじゃない

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