ガマの油をチョイとつけりゃ
打ち身 切り傷 かすり傷
胸に悲しいあの傷も
けろりたちまち治っちゃう
あ けろりんぽんたらけろりんぽん
「サアサア御用とお急ぎでない方は
ゆっくりと見ておいで」
遠出 山越え 傘の内
ゴンと聞こえる山寺の
鳴るは鐘やら撞木やら
きかぜ道理が解らない
あ けろりんぽんたらけろりんぽん
「手前取り出しましたるは
軍中膏はガマの油
ガマはガマでも四六のガマ」
四六 五六はどこで見る
チョイと数えて足の指
前が四本で後六本
そこら近所じゃ見当らない
あ けろりんぽんたらけろりんぽん
「さあてお立会い
この四六のガマから
油をとるにはどうするか
四方鏡張りの中に閉じ込める
するとガマはだなア」
己が姿に驚いて
たらりたらり油汗
三七 二十一日間
とろりとろり煮つめるよ
あ けろりんぽんたらけろりんぽん
「てれめんめいかにまんていか
かような薬を混ぜて
出来上ったのが
この油だよ お立会い」
まだあるんだ お立会い
ここで手前が取り出す
抜けば玉散る何とやら
氷の刃だ良く切れる
あ けろりんぽんたらけろりんぽん
「濡れ紙一枚切れれば
人間の身体は一寸切れると言う
まさか人を切るわけにはゆかないから
紙を もって試してみる
ほれ一枚の紙が二枚となる
二枚が四枚 四枚が八枚
八枚が十と六枚 十と六枚が三十と二枚
三十二枚が六十と四枚
六十四枚が百と二十八枚」
ガマの油をチョイトつけりゃ
こんなおっかない刃物でも
こんな柔らかいこの腕を
押しても引いても ほら切れない
あ けろりんぽんたらけろりんぽん
「しかしこの油を拭き取る時は
ほらちょっと触っただけでも切れたよ
ほら血が出たよ」
だけど驚く事はない
こんな時には血を拭いて
ガマの油をチョイとつけりゃ
けろりたちまち血が止る
あ けろりんぽんたらけろりんぽん
「ほらネこの通り
煙草一服吸うか吸わない中に
血が止ったろう サアお立会い
ハァ はい はい はい 有難う
はい 有難う
あちらでも御用 こちらでも御用とおっしゃる
はい はい 有難うござんす
有難うござんす
ヘエ みんな行っちゃった
あれ 何でェ 買ったのは
俺が金を払ってやった さくら
仲間だけじゃねえか
馬鹿にすんねェ」
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