森田公一とトップギャラン

  • 乳母車 – 森田公一とトップギャラン

    めずらしく 晴れた日の坂道をあの人と肩ならべ歩いてるこの僕は手ぶらでも あの人はカタカタと 乳母車おしている三年の年月がそこにあるうめられぬ年月がそこにある盗み見た横顔は今もなおあの頃の あの人のままだけど 風車クルクルとまわりだし幼子が あどけなく手をのばす風が出てきたからとあの人は乳母車おしながら去って行く三年の年月がそこにあるうめられぬ年月がそこにあるぼんやりと 見送ったこの僕はオーバーのえ…

  • 青春時代 – 森田公一とトップギャラン

    卒業までの半年で答えを出すと言うけれど二人が暮らした歳月を何で計ればいいのだろう 青春時代が夢なんてあとからほのぼの思うもの青春時代の真ん中は道に迷っているばかり 二人はもはや美しい季節を生きてしまったかあなたは少女の時を過ぎ愛に悲しむ人になる 青春時代が夢なんてあとからほのぼの思うもの青春時代の真ん中は胸にとげさすことばかり 青春時代が夢なんてあとからほのぼの思うもの青春時代の真ん中は胸にとげさ…

  • 別れ煙草 – 森田公一とトップギャラン

    少しやせたと見える肩さだめ重たく背負う肩別れまぎわの停車場であなた向こうを向いたきり 読む気もないのに本を買い飲む気もないのに酒を買いやさしい言葉もさがせずに別れ煙草に火をつける 逢えば不幸が重なると知っていながら逢いに来て時の流れのその中であなたひとりを傷つける 読む気もないのに本を買い飲む気もないのに酒を買いあなたを抱いてもやれなくて別れ煙草に火をつける 読む気もないのに本を買い飲む気もないの…

  • 秋だなア – 森田公一とトップギャラン

    何故かひとりで旅に出たくてがらでもないのに本などかかえあゝ秋だなァー別れた女の想い出浮かぶよそれもきれいな横顔ばかりあゝ秋だなァー人が恋しい季節にみんな人気を嫌って旅にでるいちどはなくした心のぬくもりに遠くで会えると信じてる秋はひそかにひかりひんやりましてひとりの男には 日焼けをおさえた女がひとり誰に出すのか葉書をひろげあゝ秋だなァー昔の俺なら写真を写してあとで送ると話しかけたろうあゝ秋だなァー窓…

  • 想い出のピアノ – 森田公一とトップギャラン

    ガラスをいろどる雪模様静かにふけゆく冬の夜あなたを想って眠られず灯りをともして弾くピアノ 覚えていますか この歌を今でもあなたは好きですか心をつないでいるものはとうとう一つになりました 暖炉に燃やした木の枝が煙たいだけではない涙こごえる指先あたためて想い出ばかりを弾くピアノ どうしていますか 近頃は幸せつかんだころでしょう心をつないでいるものはとうとう一つになりました 覚えていますか この歌を今で…

  • 中央線お茶の水 – 森田公一とトップギャラン

    お茶の水まで中央線はふたつの電車がならんで走るオレンジカラーの電車の窓に君を見たのは市ヶ谷あたり次で降りろと叫んだけれど鉄の車輪がくだいて消した君をさがしてるお茶の水駅ぼくを待つ気に今もなれないのか ぼくの姿に君も気づいた叫ぶ気持ちもわかったはずだ何年ぶりかで出会えた今日を捨ててゆくのが君の言葉か決して小さな傷ではないと責める声まで聞こえるようだどうだ元気かとお茶をのむには今は早いと君は言うのだろ…

  • 友が偉く見える日 – 森田公一とトップギャラン

    友がみな偉く見える日 詩人を真似てスミレを買った早く帰って何も言わずに お前に渡してみたかった 男の人生のほろ苦さが 風のように沁みる日おれもお前もゲームのように 暮らせなくなる年頃 友がみな偉く見える日 スミレをかばい駅へ急いだ心の底から笑えた頃の 遠さをはじめてかみしめた 友がみな偉く見える日 電車の窓の闇に映ったみじめな顔に耐えきれなくて 盛り場の駅でつい降りた 男の人生のほろ苦さが 風のよ…

  • 過ぎてしまえば – 森田公一とトップギャラン

    美しくもなく 豊かでもなく楽天家でもなく さりとてぐれてしまうほど愚かしくもなくこのままでいいわけないと 固(かた)い林檎をサクサクとかじってた 孤独の日々も過ぎてしまえばみな美しい過ぎてしまえばみな美しい 堕(お)ちて行く夢を 時に描いて女にも溺れた 不幸が住んでいるような悲しい女にこんなことしてちゃ駄目と 背中合わせの涙声聞きながら 迷った日々も過ぎてしまえばみな美しい過ぎてしまえばみな美しい…

  • 地球最後の日 – 森田公一とトップギャラン

    ラララ……… ラララ………静かな朝が 地球の上 いつものように訪れても笑顔をかわす人さえなく ただ動かずに待ってるだけ さよなら地球の時が そこまで来ている朝は何より美しくて 静かな朝 空から落ちた一羽の鳥 生きてるものの最後だろうあかねの空はあかねのまま 益々赤くつつんでいる さよなら地球の日々よ この手で汚した罪にこうして今問われる 最後のとき さよなら 人よ 愛よ さよなら 神よ 空から落ち…

  • 下宿屋 – 森田公一とトップギャラン

    窓に腰かけあの人は暮れて行く空見つめつつ白い横顔くもらせて今日は別れに来たというだらだら坂のてっぺんのあの下宿屋のおもいでは泣いて帰ったあのひととあとにのこった白い花 白い花 しけた煙草をまわしのみかけた茶碗で酒をのみ金もないのに楽しくていつも誰かに惚れていただらだら坂のてっぺんのあの下宿屋のおもいでは行方知れない友だちとやつがのこした置き手紙 置き手紙 行方知れない友だちとやつがのこした置き手紙…

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