曽我部恵一

東京 2006 冬 – 曽我部恵一

冬のおわりのある一日
ちょっとうす着しすぎたみたい

東京へ来て15年
まだ季節の変わり目がわからない

新宿からタクシーで下北沢
副都心の夜景をながめながら
この15年で一番楽しかったことを思い出そうとした

あぁ ぼくは風邪をひいたかも

東京 東京

こどもの手をひいて幼稚園
ちょっとゆっくり歩く

朝の太陽は今日も変わらずぼくを白々と照らす

全然ささいなことで こどもは楽しそうに笑う
それで今日のぼくはつられて 笑いながら歩いた

あぁ ぼくは風邪をひいたかも

東京 東京

だれかを好きになってしまう
だれかを嫌いになってしまう
だれかを裏切ってしまう
だれかを愛してしまう

東京 東京

冬のおわりのある一日

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