広瀬沙希

薄墨の恋文 – 広瀬沙希

鳥籠を飛び出して
もう はや幾年
あなたのいない日々は
穏やかに過ぎ行く

然れども ふと あなたの言葉を思い出し
また傷つき 修羅が疼いて…

どんなに遠く離れても
恨み 憎んでも
未だ あなたのことばかり
考えています

薄墨の恋文に
想いをしたため
丁寧に折り畳み
そっと 仕舞い込んだ

煙草の香に あなたの残像を見た
胸の痛み儚く ただ虚しくて

哀しみよ まだ 行かないで
もう少しここで
あなたを想う口実を
私に与えて

どんなに遠く離れても
恨み 憎んでも
未だ あなたのことばかり
考えています

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