大木彩乃

それぞれの空 – 大木彩乃

季節外れの粉雪
コートの袖に結晶が
きらきらとけて
涙にじむ春は

いつもと同じ道でも
なぜか初めて通るみたい
窮屈な肩が
時間を狂わす

明日からは違う空に何を思うの?
目の前にある世界がすべてだった日々に

季節が 巡っても
あなたしか 見てなかった
二度ともう会えなくなる 瞬間が来る前に
匂いも 笑顔も 切なくよみがえるの

渡り廊下に溜まって
無理にはしゃいでみたけれど
こころは あなたの姿 探してた

近付いたり 離れるだび
あなたを知った
傷つけられて視界から消えていた日々に

もう一度 戻りたい
傷口 深くなっても
二度ともう会えなくなる 瞬間が来る前に
ことばも 温度も あなたに近付きたい

明日からは違う空に何を思うの?
新しい日々に痛みを忘れていく季節

もう一度 戻りたい
傷口 深くなっても
二度ともう会えなくなる 瞬間はせまるけど
最後のベルが鳴る
思い出の数 数えた
誰かを見つめているあなたは遠いから
あふれて 消えない
想いを しめ殺した

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