それはまだ私が神様を信じなかった頃
九月のとある木曜日に雨が降りまして
こんな日にすてきな彼が現れないかと
思った処へあなたが雨やどり
こんな時に何でも良いからあなたとお話をして
お友達になれたらどんなに楽しいだろうけれど
あなたの気を引ける程すてきな娘ではないし
風邪をひかないでと願うのがやっとだった
娘は器量が良いというだけで
幸せの半分を手にしていると
誰かが云った意地悪なお話
でもこっそりうなずいている自分が悲しい
確かに私が他のお友達とおなじ位に
白いドレスや口紅や赤い靴が
似合うすてきな娘だったらもっと上手な笑顔を
あなたにあげられたのに
だからあなたと街角でもう一度出逢った時も
あなたが覚えているなんて夢にも思わなかったし
ましてやそれ以上の事なんて望みもしなかった
だからこそこんなに驚いています
本当に私はお裁縫もお料理も駄目だし
おまけに心配性でそれに引込み思案で
自信なんてかけらもないしあなたに迷惑を
かけるのがきっと精一杯です
いきなりこんな大事なお話を
信じろというのが無理な事です
だってまさかあなたが選んだのが
こんなに小さな私の傘だなんて
あわてて駆け出してしまった胸の鼓動を
呼び戻す為に少しだけ時間をください
涙をこっそり拭う間だけ時間をください
そしたら
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