佐田玲子

  • 港にて – 佐田玲子

    空高く、空高く翼広げてゆっくりと弧を描いた対(つがい)のゆりかもめいつまでも、いつまでもそれを仰いでふたりから遠去かる愛を見取ろうとしているずっと前から、知っていたからその人の顔も名前も今更のように言葉を探しはしないでもうさよならに驚く程熱くはないあなたの港には最期までなれなかったけれど 彼女には今日の事知らせて来たのそれともこの近くの何処かで待っているの いくつもの、いくつもの季節をすべて空に帰…

  • 感謝状 – 佐田玲子

    あなたのお陰で私は普通にお掃除も料理も洗濯もヌカ味噌まで漬けるけど子供っぽいのはあなたに似たのでしょうか 出掛ける前に父さんにはちゃんと挨拶も出来ましたあなたといえば最後まで忘れ物の確認ばかり さっきから私の友達に囲まれて笑ってばかりいるけれど私を見てくれない訳わかります目が合えばきっと泣いてしまうから どんなときでも笑顔を忘れないあなたに教えられたことあとできちんとお礼の言葉を泣かずに言えるでし…

  • 川 – 佐田玲子

    夕暮れ間近の河川敷グランドで子供達がまたこの次の約束を終えたところ鉄橋を渡る快速電車照り返した夕日にかすかに頬を染める誰にも会わずに日曜日が過ぎていくただひとりここでこうして静かに川を見てる流れて行くのか流されて行くのか三度目の夏はすぐそこまで来てる少し淋しい位が好きになったのは誰のせいでも無いけれど本当の私へと帰れる所はこの街じゃそんなに無いってもう気付いてる あこがれ通りに暮らし始めた街で遠い…

  • 昨夜の出来事 – 佐田玲子

    taxi とめるまでは二人になれるのにあなたは テーブルで 見送るの だって外は 夜更けの街風も冷たくてだからわざと「送ってよ」とあなたの前で他の人に頼んだわ 時がサラサラとそのシュガーポットにこぼれ落ちてゆく砂時計 あんなやつと思いながらふいに呼び出されついあわてて選ぶドレスいつもあなたの隣に似合うつもりで ゆうべのこと気にしながら恋はあやふやねもっと強くなぜ激しく問い詰めないの今の私の気持を …

  • あなた自身 – 佐田玲子

    曲り角で 息を整えそれでいいの 自問自答する若さまでも 犠牲にしては走るあなた それで悔いはない ただ やさしくなるのに時間はかかるからたまには各駅停車でいい ただ 自分を探しに旅に出るのもいい気のないアイツの 電話に見切りつけ行くがいい どこへ心 向かっていくのそんな不安 どうでもいいじゃない恋も愛も 洗いざらいにさらすあなた 私と同志よ ただ 一人で膝だけかかえているよりも飛び出す景色に風を感…

  • もうひとつの雨やどり – 佐田玲子

    それはまだ私が神様を信じなかった頃九月のとある木曜日に雨が降りましてこんな日にすてきな彼が現れないかと思った処へあなたが雨やどり こんな時に何でも良いからあなたとお話をしてお友達になれたらどんなに楽しいだろうけれどあなたの気を引ける程すてきな娘ではないし風邪をひかないでと願うのがやっとだった 娘は器量が良いというだけで幸せの半分を手にしていると誰かが云った意地悪なお話でもこっそりうなずいている自分…

  • 銀の舟 – 佐田玲子

    銀色の舟を 空へこぎ出して月夜の晩に あなたに会いに行く私の想い かすかにそよぎ銀の帆を立て 静かに進むあなたの夢に 棲むのは誰銀色の舟と 一緒にうたう 銀色の舟は 月のひかりをオーロラのように ゆらしてすすむあなたの夢の 入江で迷うわたしをはやく みつけてほしいあなたが好きよ あなたが好きよ銀色の舟と 一緒にうたう 人気の新着歌詞 君を信じて – 佐田玲子 人は皆、君のことを駄目な奴…

  • いちぬけた – 佐田玲子

    たかが 恋の ひとつやふたついつでも ホラ 捨てられるわだってあなたの 愛になれずに終っていく 恋だもの 傷つきはしない お互い様おの娘のことも 責められないはやく最後の 言葉きかせて私の心 揺らさないで 涙なんか 流さないよ 風向きが変わっただけあなたの心 あの娘に 流れてくいちぬけた やさしすぎる嘘を重ねていつのまにか 見てた幻小さな歯車 きしむ音さえ聞こえないふりをしていた だいじょうぶだか…

  • 夢 – 佐田玲子

    あなたの腕の中が 狭くなった訳ではなく私があなたの夢を閉じこめる狭い籠になるのが怖いから さよなら そう書きかけて 迷ったあげくの置き手紙あなたに逢えた倖せなんて月並みな言葉しか浮かばない 人は誰でも無器用で悲しくなる位無器用でけれども誰にも夢がありぎこちない様な愛がある私の夢はあなたへたくそだけど 愛してた 夢ならいつか覚めるよと笑ったあなたが哀しかった優し過ぎたら届かないけど優しくなければ 夢…

  • 春の鳥 – 佐田玲子

    ひきだしにしまっておいた 出しそびれた恋文は私からあなたへの 最後の手紙になるはずでしたあんなに深く愛されて あんなにせつなく別れた書きながら三度泣いて 出せなくて二度泣いた手紙を今 一枚ずつ マッチで火を灯せばふるえる文字が 胸を衝く本当に本当に あなたが好きでした春の鳥のように 手紙の白い煙がまっすぐに 青空に 舞い上がってゆきますそう丁度 春の鳥のように ようやくあなたから巣立ってゆきます明…

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