三波春夫

長編歌謡浪曲 赤穂の妻 – 三波春夫

仇を討つのか 討たぬのか
責める世間の 噂が恐い
ここは山科 佇ずまい
耐えて忍んで 赤穂の妻は
祈る心で 月を見る

可愛い主税も 見納めか
生きて此の世で 逢われぬ運命
武士の妻なら 母ならば
何んで泣きましょ 赤穂の妻は
涙耐えて 別れゆく

「おりく身重のそなたに苦労をかけるのう。
内蔵之助はそなたを妻に迎えた事が
一生の裡で一番大きな倖せだった」

北は時雨て南は曇る
はいた草鞋の緒が濡れる
実家の但馬の豊岡へ
おりく悲しや戻り旅
星の流れは夢の間か
嫁十七白無垢姿
篭にゆられてお嫁入り
あの日の儘に故郷の山も
吾が家も昔変らぬなつかしさ
しばし佇む玄関先
いそいそいそと出迎える
優しい母のしわの顔
寄る年波の共白髪 父の顔見りゃ
一度にどっと溢れ出る涙を
おりくは陰せよう

「おりくあんな昼行燈内蔵之助の処へ
そなたを嫁につかわしたわ石塚源五兵衛一代の不覚じゃった!
この度のお上の仕打ちは誰か見てもむごいもんじゃ。
山鹿流軍法の奥儀を極めた内蔵之助刈屋城に籠って
武士らしく一戦するかと思うたら、それはやらぬ、城はおめおめ明け渡す。
己は祇園や島原で遊びくさって、どこまで腑抜け腰抜けじゃ。
お前におこってもしょうがない。
這入れ遠慮するなお前の生まれた家じゃ。
何じゃ婆さん、孫達が挨拶も出来ずまごまごしている?
馬鹿もん孫は別じゃ、早ようこっちへ通さんか。
おうおう吉千代にお久宇か。可愛うなったな。
吉千代は十一、お久宇は十三そうかそうか、
山科からよくここまでこられた、疲れたであろう。
足をなげだして楽にするが良い。
兄の主税はどうしていた?父上がこれをおじい様にみせろと言うた。
どれどれこの短刀を…‥おう!一点の曇りなき長船祐定、
この刀を吉千代!お前に形見じゃと内蔵之助が渡したか。
あの形見じゃと!うむ!ウハハ ウハハハ…
おりく、よくぞよくぞ離縁されて戻ったのう」

さてこそ婿殿内蔵之助
仇を討つ気であったのか
昼行燈ではなかったぞ
望みは大石江戸を睨んだ胸の裡
用意は充分出来てるわい
可愛い女房や二人の子供
離縁したのもまさかの時に
罪を被ちゃならないと
さすが出かした天晴れじゃ
おりく分かっているだろうが
去り状持って親元へ
帰るそなたの辛さより
去らせた良雄の悲しさと
息子主税の切なさを
想ってやれよこの子供
立派に育ててやることが
妻の道だぞ務めだぞ
説いて聞かすも親なれば
親なればこそ武士なれば
形見の短刀押し戴いて
孫を抱き寄せこの祖父が
怒って本当に済まなんだ
許してくれと詫びている
父の笑顔に又泣ける
母が運んだ手料理へ
思わずおりくは手を合せ
涙を押えた瞼の裏に
浮かぶ赤穂の天守閣
赤穂の妻は泣きませぬ
赤穂の妻の顔に
晴ればれ夕陽が紅い

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