ウォルピスカーター

オイルライター – ウォルピスカーター

期待していたような感傷も
焼け付いた喉のからさも
見つからなかった灰皿も
変わったのは僕の方

懐かしさで点けた火の
ちりちりと光る思い出は
肺を埋める前に吐き出した
車窓から見ていたのは流れる日々

喜びも大きな絶望も無い
ただ生きているから生きているよと
そう思えるから

あなたが選んだオイルライターは
真っ黒な猫の小さなZippo
綺麗な音を立てると
目を細めて少し嫌そうに笑っていたっけ
真っ白な壁紙
ちょっと汚すように
滲む今日に

口を開けて受け入れていた
その他大勢の自分を
臆病者だって叱ったね
これだけは変わらないよ
きっと

平凡な日々にはもう飽き飽きだ
なんて言葉は
ただ作者の都合上必要な舞台装置

小さな世界
喜びも大きな絶望も無い
まだ生きてるから生きてるのと
そう思っているから

あなたが選んだオイルライターは
真っ黒な猫の小さなZippo
綺麗な尾を引く指先見つめて
半分でむせた今の僕は
真っ白な壁紙
ちょっと汚すように

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