赤い花咲く彼岸花
誰が呼んだか地獄花
枝も葉もなく節もなく
あやしく揺れて惑わせば
あのひとコロリ騙されて
情熱だけを吸い取られ
あんな女はごめんだと
泣いてわたしにすがりつく
夕焼け色の金盞花
健気なふりで頬染めて
おひとついかが 上目遣い
金の盃差し出せば
あのひとホロリ酔わされて
やさしさだけをはぎ取られ
あんな女はごめんだと
泣いてわたしにすがりつく
七色 虹色 花から花へ
飛び立つ蝶の行方は
遊びたわむれ菜の花は
霞の夜もおしゃべりで
月はわたしが染めたのよ
いたずら顔で振り向けば
あのひとクラリのぼせ上げ
純情ゆえに転がされ
あんな女はごめんだと
泣いてわたしにすがりつく
緑つやめくオリーブの
その実を強く抱いたなら
愛と涙が溢れ出て
恥じらいさえも悩ましい
あのひと我を忘れては
骨の髄までむさぼられ
あんな女はごめんだと
泣いてわたしにすがりつく
夢と言われた青いバラ
星の明かりに照らされて
やっとあなたに会えました
細いゆびさき手招けば
あのひとユラリいざなわれ
星の数だけ嘘を見て
夢のままなら良かったと
泣いてわたしにすがりつく
誘う花にはトゲがある
香る罠には毒がある
息を潜めてトリカブト
道連れびとを待ちわびる
冷えた空色鮮やかに
怖がらないで口づけて
さみしさくべて抱き合えば
あのひとはもう帰らない
七色 虹色 花から花へ
飛び立つ蝶の行方は
都忘れが匂い立つ
紫色の朝焼けに
ここはどこです あのひとが
フラリ現れ戸を叩く
すべて忘れたあのひとは
羽をもがれた蝶のよう
おかえりなさい待ってたわ
糸をめぐらせ地獄蜘蛛
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