しのづかまゆみ

  • 真夜中の買い物 – しのづかまゆみ

    真夜中に 買物に行きましたささやかな パーティのためでした忘れてた誕生日 おもいだしひとりワインを 飲みたかったそこだけ 明るい店先で何故か 私は立ちすくむ肩を並べた 若い二人が今の私に まぶしい 真夜中に 買物に行きました本当は 眠れないためでした恋人とよぶひとも いなくなり手紙書いても 出せなかった楽しいふりして 買物しだけど 心は泣いている二十才になった 今日の私に店のあかりも まぶしい 人…

  • パパはもうれつ – しのづかまゆみ

    とてもやきもちが強いのすぐにめくじら立てるの何もかもひとりじめに無理なことばかりいうのよパパパパあなたは 私の自由を烏龍にとじこめるの 鍵をかけるの夜が少しでも遅いと門の近くに立ってて首ねっこ押さえられるとても冷酷な顔してパパパパあなたは 私の自由を鳥龍にとじこめるの こわい顔して もしも恋人が出来たらきっとモーレツ邪魔する悪口を並べたてて時に撲るかもしれないパパパパあなたは 私の人生めちゃくちゃ…

  • 曇り空 – しのづかまゆみ

    ここへ置いてほしいといって押しかけたのが 去年の終り頃とても寒い朝でしたあなたの肌がやけに あたたかかったあれからやがて 一年になりそろそろここを 出て行くつもりあなたのそばで 眠れることに慣れ過ぎた 私だけれど まるで宿をなくした女なぜだか そんな気持もするけれど寒い朝に出て行くわあの日と同じ みぞれまじりの中をこのままいたら あなたの足をひっぱりそうで おそろしくなるあなたのそばで 眠れること…

  • 純情記 – しのづかまゆみ

    邪魔だから来るなよと あなたがいうのなら来いと声がかかるまで 待っていてもいいだから今しばらく 他人にさせないで縁を切るのは後 もっと後のことにしてねあゝあの日から こんなにも変り私は女になる さびしさが重なってあなたに抱かれてそして愛にすがりつく ことを覚えたの他の男になど 心が動かないあなたひとりだけに すべて賭けて生きているのあゝあの日から こんなにも変り私は女になる 段々に遠くなり やがて…

  • 嫁入り前 – しのづかまゆみ

    十八十九は 遊んで過して二十才になったら 考えあらためどこの良家の 子女だろといわれるように はげみます 町から町へと ふらふら流して軽そうな坊やを 誘っていたけどそれもきっぱり やめにして大物だけを ねらいます 朝はきちんと 七時に起きます両手そろえて あいさつしますお茶やお華は 勿論のこと三つかけもち 学校通いも致します 女と生まれて 女で生きるにゃこれがサイコーと 先輩たちが口をスッパク 忠…

  • 題名のない物語 – しのづかまゆみ

    私が死んだら 港へ捨ててみんなで手をふり おくっておくれくちぐせみたいに いってたあの娘がくちぐせ通りに なってしまったよ キャンドルともして ギターをひいて陽気なあの歌 泣き泣き歌ったよはたちの間のある あの娘が何故にみんなは口々 つぶやいていたよ 私が死んだら 便りも出さずみんなでひっそり しのんでおくれきげんのいい日の ジョークのつもりがマジメな話に なってしまったよボリュウムいっぱい レコ…

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