やけに喉が渇いて
からがら家を出た
夕方の風に紛れた
昼間のコンクリートの熱
スーツと制服のフレッシュマン
コンビニの前は溢れ
かしまし 麗しい
新しい季節か
やけに喉が渇いて
しょうがないのはたぶん
今夜が 満月だからかも
グレープフルーツムーン
満たされるほどに熟れる果実じゃない
なら悪くない ちゃんと今
乾いてるって 欲しいんだって わかるでしょう
見えてるあれこれは増えて
翼にも枷にもなる
生ぬるい風に紛れた
タイヤの擦れ焦げた匂い
もう苦いのも食べられると
気がついた頃に思う
それはさ、豊さ?鈍さか? なんてね
グレープフルーツムーン
飲み込めない憂いはもう日々に隠れ
でも“角がないから”丸いわけじゃない
這って 這って 這って ずって
払って 立って 頬はたいて
凪いで 待って 待って 待って
また満ちる
這って ずって 払って 立って
潤んだ昨日をもう濁して
実んない 今日の今日 齧って
思い出す
グレープフルーツムーン
あの月は 渇くほど冴えてく果実
ほらあと少し
面白くなるまで
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