君の絵を見た 夢の廊下
頬に紅さし生きているよう
唇に笑み 微(かす)かに揺れ
憂いの瞳 泣いてるかのよう
絵を見るぼくの瞳(め)も泣きぬれて
君を失くしたとまだ信じられない
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海はきらめいた陽が消えるとき寂れた漁師小屋二人肩寄せた夜霧と満ち潮カモメが弧を描(か)く君の瞳(め)の愛が涙に変わる白い手に涙が落ちたのを見てぼくは跪(ひざまず
あの娘が暮らしていた家の前 たたずむあの娘は街を去りだが家はそのままだもう一人男がいて苦しみに身をよじる月が顔を照らすと自分と同じ顔だおお ドッペルゲンガー 我
俺の名はアトラスああ不幸なアトラス重い この天球を背負って心は裂けそう高慢な俺は自ら選んだのだ幸せ いやそれとも不幸になる選択を結果はどうだこの重荷を背負うみじ
哀しいのは逃げ去る者他人の街さまよう者故郷捨てて家を憎み友に背向け生きる者に希望はない心焦がれ眼はうるんで生まれた地を遥か仰ぐ沸き立つ血も嘆きも絶え光失くし沈む
戦い疲れて眠る戦士心は不安で重いが煮えたぎる血 皮膚を走るあの頃何度もまどろんだね甘い夢に暖炉が揺らいでぼくの手にはあの娘がいたここでは剣(つるぎ)に ああ 火
銀色に光る川さざ波がはしゃいでるああ遠くに住む人に挨拶を運んでよ庭に咲く花を摘みその胸に飾って赤いバラ 色褪せて元気なく萎(しお)れたらせせらぎにひたしなさいほ
そよ風が吹くたび花の香が満ちるよそよ風が吹くたび花の香が満ちるよなぜ心はこんなに春に焦がれてときめく風に背中を押されてぼくの心は旅立つ何処へ 何処へせせらぎはき
とどろく急流ざわめく森林聳(そび)える絶壁そいつが住みかだ寄せる波 引く波この日々は荒波だぼくの目も乾く間もなく新しく濡れていく空高い樹木が風に鳴り波打つああぼ
優しくささやく夜の歌静かな森までおいでって梢が騒ぐよ青い月遊ぶ影秘密の庭には誰一人来ないから小夜鳥 かわりに歌ってよあなたに言えない愛の歌小夜鳥 苦しいぼくの恋
伝書鳩を飼ってる言いつけを守り目的地めざし迷いもないもう何千回も往復した素敵な街越え舞い降りるよあの娘の家鳩は窓を覗いて合図を送りあの娘の返事を持って帰る文字じ
漁師の娘 べっぴんさん舟をそこの岸に寄せておくれぼくの隣に来てお喋りして手をつないで頭を肩にもたれてごらん怖がらないで だって君は荒波にさえ洗われても涼しい顔心
遠い地平に横たわる街無数の塔も夕闇の中湿った空気 細い水路小舟の櫓(ろ)を漕ぐ物憂いリズム陽はまた昇って光り指差す恋しい人を失くした場所を
じゃあね いい街だったよ じゃあね馬が蹄(ひづめ)をこするよ別れの酒受けてくれ涙知らずのあの娘は哀しい顔を見せないだから笑顔でさよならじゃあね いい街だったよ