織井茂子

東京無情 – 織井茂子

花の都に 憧れて
尋ね来た わたしは小鳥
雨に濡れよが 風にたゝかりょが
人は 素知らぬふりして 過ぎてゆく
あゝ 東京情なし 薄情ものよ

尋ね探した ねぐらさえ
陽もさゝぬ この世の裏よ
泥溝(どぶ)に落ちよが 羽をいためよが
赤い ネオンは黙って 眺めてる
あゝ 東京情なし 薄情ものよ

遠いむかしの 純情を
なつかしむ あたしの涙
夢を持とうが 強く歩こうが
憎い 都にゃ冷たい 人ばかり
あゝ 東京情なし 薄情ものよ

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君の名は – 織井茂子

君の名はと たずねし人ありその人の 名も知らず今日砂山に ただひとり来て浜昼顔に きいてみる夜霧の街 思い出の橋よすぎた日の あの夜がただなんとなく 胸にしみじ

黒百合の歌 – 織井茂子

黒百合は 恋の花愛する人に 捧げれば二人はいつかは 結びつくあああ あーー あああ あーーこの花 ニシパに あげようかあたしはニシパが 大好きさ黒百合は 魔物だ

静かな夜のビギン – 織井茂子

ビギンビギン 昏れゆく灯かげにビギンビギン ただよう夜霧よひとりしのびます 消え去りし夢をビギンビギン 窓辺にやさしく流れる夜のビギンビギンビギン 燃えては静か

黒いコートの女 – 織井茂子

星もない暗い海見て しょんぼりとだれをまつやら 今宵もたたずむ黒いコートの あの女あゝ 青い夜霧に青い夜霧に 灯がにじむ襟あしに横浜(はま)の夜風が 吹いてゆく

夜がわらっている – 織井茂子

酒があたいに惚れたのさふられたあたいに 惚れたのさきらいさ きらいさ酒なんて大きらいさ夜がクスクス わらうから飲めるふりして 飲んでるだけさ愚痴があたいを 責め

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