織井茂子

夜がわらっている – 織井茂子

酒があたいに惚れたのさ
ふられたあたいに 惚れたのさ
きらいさ きらいさ
酒なんて大きらいさ
夜がクスクス わらうから
飲めるふりして 飲んでるだけさ

愚痴があたいを 責めるのさ
昔の約束ァ どうするッてさ
きらいさ きらいさ
愚痴なんて 消えちゃいな
夜がジロジロ 見てるから
ちょっとしんみり してみただけさ

夢があたいに からむのさ
まことの心を きかせろッてさ
きらいさ きらいさ
恋なんて まッぴらだ
夜がゲラゲラ わらうから
口惜し涙が こぼれるだけさ

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君の名は – 織井茂子

君の名はと たずねし人ありその人の 名も知らず今日砂山に ただひとり来て浜昼顔に きいてみる夜霧の街 思い出の橋よすぎた日の あの夜がただなんとなく 胸にしみじ

黒百合の歌 – 織井茂子

黒百合は 恋の花愛する人に 捧げれば二人はいつかは 結びつくあああ あーー あああ あーーこの花 ニシパに あげようかあたしはニシパが 大好きさ黒百合は 魔物だ

静かな夜のビギン – 織井茂子

ビギンビギン 昏れゆく灯かげにビギンビギン ただよう夜霧よひとりしのびます 消え去りし夢をビギンビギン 窓辺にやさしく流れる夜のビギンビギンビギン 燃えては静か

東京無情 – 織井茂子

花の都に 憧れて尋ね来た わたしは小鳥雨に濡れよが 風にたゝかりょが人は 素知らぬふりして 過ぎてゆくあゝ 東京情なし 薄情ものよ尋ね探した ねぐらさえ陽もさゝ

黒いコートの女 – 織井茂子

星もない暗い海見て しょんぼりとだれをまつやら 今宵もたたずむ黒いコートの あの女あゝ 青い夜霧に青い夜霧に 灯がにじむ襟あしに横浜(はま)の夜風が 吹いてゆく

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