細川俊之
ともだち – 細川俊之
寒すぎる季節におわれた
あてのない旅先で
突然にあいつに逢いたくなった
日暮れのともしびのように
はかなくてあたたかい
あいつに逢いたくなった
逢えるはずもない……あいつに
いくつかの季節をくぐって
人はみなかわるのか
今いづこあいつに逢うこともない
迷った野良犬のように
おれさえもさけ乍ら
あいつは遠くへ行った
わるいうわさだけ……残して
寒すぎる季節におわれた
あてのない旅先で
突然にあいつに逢いたくなった
日暮れのともしびのように
はかなくてあたたかい
あいつに逢いたくなった
逢えるはずもない……あいつに
いくつかの季節をくぐって
人はみなかわるのか
今いづこあいつに逢うこともない
迷った野良犬のように
おれさえもさけ乍ら
あいつは遠くへ行った
わるいうわさだけ……残して
ほろびのうたは たとえばこわれた自動ピアノひとりでに ころがって遠い時代に 帰って行くだれを訪ねることもなくだれと別れることもなくとるにたらない人生のとるにたら
いつでも君のところへ行けるはずだったのに、ぼくにはまだ勇気がないでも、あしたには 多分……あしたには眼をとじる 君がみえる君の吐息 感じる眼をあける ひとりだけ
この世にバラいろの朝が来るとはとっても思えはしないのにどうして二人は生きているのだろうあきらめた人生には優しい心だけが似合うだろう何も言わずにぼくをみつめてぼく
いい奴に会わせるとあなたが連れて来たあの人とあなたはよく似てる淋しげな横顔で何にも言わないで優しい眼うるませるところなどあなたが旅立ったらあの人が来る私の部屋そ
少し前のつかれた日々ぼくはよくあの店でクリスティを読んだりしてた何時間も……だれとも話さないぼくだったがほんとうはだれとでも話してた今よりかはズッと………あのむ
めざめたら 優しいうたをうたっておくれ……柔らかな おまえの胸に耳をあててだまってきいていたいからこのおれが ろくでなしでもうたっておくれ……いい匂いの おまえ
淋しい旅のワードローブはほつれたシャツの糸くずポケットに両手を入れてにぎわいの日暮れの街へ人が皆ゆたかに見える人が皆まぶしく見えるそれなのに街は底冷えの海だポケ
もう逢うことも ないだろうけれどおまえの微笑み なくさないで欲しいあしたおれが いなくなってもおまえの哀しみは すぐに消える枯葉の音をきき 友達に電話をしてわる
ああ……雨がふっているなァ。おまえは安らかに眠っている。優しくあたたかいおまえの匂い大丈夫さ……おまえの眠りを妨げはしない。夜明けが近いのに雨ふりの窓は暗いはる
北の海辺の小さな町はあなたが最後に生きた場所愛の座折に耐えられるほど強くはなかったあなたの海辺懐かしさとは哀しいものさ水にとかれて髪は藻になり白いからだにまつわ