星のない夜は しみじみ哀し
まして他国の 山河越えて
風に追われる さすらい暮らし
めぐり逢う日が あるじゃなし
いつか頼りの 絃さえ切れて
唄も泪の ながれのギター
どこか似ている あの娘も泣いて
きいてくれるか なつかしや
肩も抱きたい 語りもしたい
どうせ一夜の 夢ならさめる
わかれ別れて 旅ゆく身なら
責めてくれるな 忘れても
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汽笛わびしく 黄昏の水面をゆすり 汽車は去りゆく想いでの 湖畔の駅よひとり尋ねし 悲しい群れにシグナルは シグナルは青い涙か せつなく光る岸のボートよ 忘られぬ
荒(すさ)ぶ嵐のシベリア山河越えて今日来たこの港嬉し涙に瞼をとじりゃ浮ぶ希望の帰還船 帰還船窓に小雪のつめたい朝も七つ北斗の冴えた夜(よ)もなぜか気になるバンド
あの山越えりゃ ナホトカあたり今日も埠頭(バンド)にゃ マストの日章旗(はた)を嬉し涙で 見上げる友がぽっと浮かんだ ぽっと浮かんだ あかね雲窓にもたれて あの
雨、雨の夜は浮世はぐれた 旅寝の鳥もまねく谷間の 灯りにほろり何故か涙が 何故か涙が 流れてならぬ旅、旅の身は抱いたギターの 音色もしめる何の弱気か 思わずほろ
雲が流れる 丘の上花の乱れる 草むらにともに植える ひと本の ひと本の若き希望と 夢の苗空に伸びろ 青年の樹よ嵐すさぶ 日もあらむ憂に暗い 夜もなお腕くみ合せ
郵便船が来たとヨー 来たとヨー沖で鳴る鳴る 合図の汽笛ポーポーポーとね 呼んでるぜ遠い都の あの娘の便り乗せて来たやら 気にかかる郵便船が着いたとヨー 着いたと
花のネオンも消えて 深い夜霧が街角を濡らす頃 残ってともるやさしい街燈 おまえは知っているつきせぬ つきせぬ ささやきを並木通りの人も 絶えて淋しくそぞろ身に沁
甘く酸っぱく 東京の夢がむせびくる様な 呼ぶ様な花の唇 酒場のあの娘唄も身に沁む ああ ダムの町パワー・ショベルがハッパの音が明けりゃ谷間に せき立てるダムの町
さよならも 言えず 泣いている私の踊子よ ……ああ 船が出る天城峠で 会(お)うた日は絵のように あでやかな袖が雨に 濡れていた赤い袖に 白い雨……月のきれいな
いつも貴女が つけていた口紅いろの 赤い灯が挽歌の街に 滲む頃霧笛の音も 泣くような釧路の駅でさようならあぁ さようならなみださしぐみ 振り返るアカシア並木 花
並木の雨のトレモロをテラスの椅子でききながら銀座むすめよ なに想う洩らす吐息に うるむ青い灯(ひ)しのび泣く 恋に泣く東京の人夜霧の日比谷ゆく人も隅田の流れ見る
牡丹の様なお嬢さんシッポ出すぜと浜松屋二の腕かけた彫物の桜にからむ緋縮緬しらざァいって 聞かせやしょうオット俺らァ 弁天小僧菊之助以前を言ゃあ江の島で年期づとめ
旅の落葉が しぐれに濡れて流れ果てない ギター弾きのぞみも夢も はかなく消えて唄もなみだの 渡り鳥酒にやつれて 未練にやせて男流れの ギター弾きあの日も君も か