七尾旅人

ソウルフードを君と – 七尾旅人

クリストファー・コロンブス 15世期の半ば、ジェノバで生まれた探検家
大航海時代の高揚は彼を 未だ見ぬ新大陸へといざなった
過酷を極めた船旅の中で、空腹を満たせないとき、
コロンブスは架空の卵にひびを入れ、船室のテーブルに立ててみせた。
遥か海の向こうでは、
やがてインディオと呼ばれることになる赤い肌の人々が、
岩壁のコンドルたちの卵の表面に、すこしの異変を見つけた。
果てしない暴力や、疫病の兆候を。
コロンブスの上陸後、1492年からのたった 4年間で、
彼らの3分の2が殺された。

1619年 最初の黒人奴隷が新大陸アメリカに降り立った。
奴隷船の船底は苦痛に震える黒い肌で満たされ、
時々誰かが瞬きすれば、宇宙空間に灯る生死不明の星々が織りなす、
数千光年前の約束のよう。
荒波に激しく揺らされるたび、もろい卵の殻のように船体はきしんだ。
しかし故郷を奪われ、言葉を奪われ、名前を奪われても、
彼らのリズムを奪うことは出来なかったという そしてそのフレイバーも

SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを揺らす 喜びに火を注いで
SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを満たす 悲しみに塩をふる
もういちど

ホワイトの農場主が 放り捨ててしまう手羽を 煮立った油のなかで踊らせる
ディープフライ
それを今じゃ、フライドチキンという

SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを揺らす 喜びに火を注いで
SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを満たす 悲しみに塩をふる
もういちど
甘いな もうすこし 辛めで 甘いな もうすこし 辛めでいいかな

都会育ちのあの娘のスープ 今日はなんだか懐かしい味
忘れようもない この酸味 悦びと哀しみ 遠い故郷の景色

SOUL FOOD コンクリートのうえで フライパンを揺らす 喜びに火を注いで
SOUL FOOD アルピニストのように フライパンを満たす 悲しみに塩をふる
もういちど
甘いな もうすこし 辛めで 甘いな もうすこし 辛めでなければ

越えられない この分かれ道
臆せば 越えられぬ あの鉄線の向こう

21世紀のパンデミック 地球儀を塗りつぶす ミネアポリス
I can’t breathe
無人だったはずの街を、埋め尽くしていく人々
「鍋を出せ」「フライパンを、キッチンナイフを」「もっと強火で」
「ブラックペッパーを」
ああ、そんな声に、海の向こうで誰かが呼応して

さあ、食料を運び続けよう SOUL を運び続けるんだ、誰かのもとへ
僕の小さな友だち、アフリカンの父親と生き別れ、
日本のママと暮らすあの子は
エリザベス マイディア エリザベス マイディア
君の涙をあっという間にとめる 魔法のひとしずくをスプーンに垂らして
フライパンの上の輝く卵にさっと一振り
SOUL FOOD 夢にまでみた味

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