水に指を滑らせて手紙を書く
軸に歪む空に散っていった
神様がくれた僕の時間を
君にあげる 狡を許してね
どうか 遠い遠い場所でいいから
その未来を見ていたい
溶けたアイスでベタベタになった
ブラウスが煌めいていた
洗剤の匂いに踊るメロディ
レコードの溝を埋めるリップクリーム
君がくれた 僕にくれた名前を
忘れないで 思い出してほしい
いつか 赤い風が吹いて
夏が君のことを慰める
たとえば海が乾いたら
婚約者にしてほしいんだ
今 ガラス越しに指が重なる
二度と触れることはできない
分かっていた
水に指を滑らせて 指を滑らせて
終わらないエンドロールに席を立つのさ
いつか
巻きすぎたオルゴールが壊れるように
その名前すら
思い出せないようにしたのはあなた
あなたでしょう
燃ゆるような夕焼けに海が涸れてゆく
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