おいしくるメロンパン
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群青逃避行 – おいしくるメロンパン
海へ行こう海へ行こう夏が終わる前に あなたにらしからぬ有り触れた台詞で呆気に取られ茜空気がつけばふたり水平線に堕ちていく 息を止めたら 群青逃避行 沈む最中片道分の呼吸で大丈夫 大丈夫 大丈夫だよ ねえ帰れないところまで行こう目を閉じて息が切れる前に どのみちあの日々も生簀のような教室の酸素を奪り合ってただ不意に海の果てを知ったその瞳の奥で 未だ 沈む最中泡沫の夢と分かったっていいよ いいよ 奪っ…
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未完成に瞬いて – おいしくるメロンパン
透明な感情で塗り重ねたダイアリー無味乾燥な相槌のデコレーションシール 相も変わらず知ってるようでないような感じどっか似てるようで違うような感じ 口約束は六月の雨模様曖昧くらいがいい 目が回っちゃいそうでグラっちゃいそうなスピードで昨日に思い出になってしまったってもう考えたって分かんないことばっかだって笑い合って憶えていようね 例えばきっと虹色の明日だって何だって選んだって構わないそんな世界でそれで…
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旧世界より – おいしくるメロンパン
白濁の太陽が風に光っていてどこへでも行けそうな気持ちに嘘ついた子供の頃住んでいた街と同じチャイムで壊れたオルゴールを捨てて歩いていく 泣いてばかりだったねたくさん嘘ついたね最後の最後までそうだった話しそびれたこと今更になって浮かんでくる あなたには聞こえない声で呼んでみた その名前を凍てついた夏空に触れて記憶はそこで今日も途切れていく 眠りから覚めたってそれはまた夢どこまで歩いたって油絵の砂浜 忘…
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海馬の尻尾に小栴檀 – おいしくるメロンパン
晴れた日にはうんと遠くへ行こう貝殻の上蹄鉄高らかに 晴れた日にはうんと遠くへ行こう悲しみの種海岸に振り撒いて 帰らぬ人あの人みたいに美しく清らかに思い出の窓を開いて 忘れようなにもかも大切にするためにここに埋めよう掌で咲く花はない忘れよう 病める日にはぬるい風を浴びよう灰の舞う空太陽が瞬いて 帰らぬ人あの人みたいに弱いままでいたいのに人は皆 思い出の虫 貝殻の上を歩いてそれはかつて生きた誰かの夢 …
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額縁の中で – おいしくるメロンパン
昔日のワルツと風に靡くスピカ君と呼吸を揃え 踊ろうさあ目を閉じて 嗚呼思い出せはしないがたしかにこの景色を知っているあの角を曲がった先に絵画市があるはず 額縁の中で揺れる木漏れ日に懐かしい風が薫る 歪みのない世界地図病名を消したカルテ愁のないシナリオ油を垂らしたら 飾られた世界から君だけを奪うから筆のリズムに乗せて 踊ろうさあ手を取って 嗚呼思い出せはしないがたしかにこの景色を知っている鉄塔のあの…
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千年鳥 – おいしくるメロンパン
世界の最終回でまた会おうぜ途方もない時間の果てに立って今って何ページのどのあたり読み飛ばしてしまえたらいいねなんて 羽ばたいていけあの日流した涙を越えAnd you and I meet again僕の名前憶えてる?醒めないでいて海や風になってしまっても千年後の僕もまだ愛してくれる? 最上階でまた会おうぜ情けない感情も底をついて燃やした思い出の熱源で巻き戻してしまえたらいいね 羽ばたいていけさらば…
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眠れる海のセレナーデ – おいしくるメロンパン
ボロ切れの袖を透かしてみた空凍てついた風と溺れそうな太陽ただ冬の海に還りたくなるの きっと前の世界でまだ私を呼ぶ声が鳴り止むことを忘れたままでいる青くなっていく月が頬を撫でながら二人の影は一つ 柔らかな痛みの中 随分と長く引きずったものだ離さない方が楽だっただけよただ冬の海に還りたくなるの ずっと先の未来でまたあなたに出会うだろうそしたらきっと全てを思い出そう青くなっていく月が頬を撫でながら二人の…
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沈丁花 – おいしくるメロンパン
雨降り意を決しとかくこんな日に限って不覚術なく待ちぼうけ師走に咲く沈丁花 月冴ゆる季節厚雲飲み込んで一節差し詰め北時雨日暮れ歩く町外れ 悴む指先から奪われてゆく夜に溶けてゆくやがては世界の温度も冬の配下に成り下がってしまう氷点下 硝子になった五臓六腑のシュプレヒコールを品性を欠いた感情じゃ融点は超えないよ 透明な手口で以って奪われたこの手の温度で孤独な寒月に今触れた気がしたんだ 硝子になった五臓六…
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砂の王女 – おいしくるメロンパン
果てを目指して さぁ砂に足を取られようとも君が忘れた全部を僕が思い出せる間に 一夜限りの雨が白紙に戻した世界地図ただ一つ覚えてた胸の奥にかかる虹のふもとへ The castle walls are likea birdcage that shuts you in深い影の忍ぶ窓辺に 風を焦がして嗤う残酷な季節もそれを奪えはしない内なる海を 枷を外して さぁ抜け殻の街を背に行こう君が何も知らなくても僕…
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式日 – おいしくるメロンパン
城壁の向こうから風船が空を覆う君はまだ眠る城壁の向こうから知らない歌が聞こえるブランケット被っている微睡む君の枕元へ ラジオダイヤル 0khz待ち合わせは 12:40お間違えないようにご注意ください 挨拶がわりのワルツ腕時計は 12:40コーヒーはアメリカンでご賞味ください ファンファーレ定刻通り式が始まる 城壁の向こうから風船が空を覆う君はまだ眠る城壁の向こうから知らない歌が聞こえるブランケット…