おいしくるメロンパン
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海馬の尻尾に小栴檀 – おいしくるメロンパン
晴れた日にはうんと遠くへ行こう貝殻の上蹄鉄高らかに 晴れた日にはうんと遠くへ行こう悲しみの種海岸に振り撒いて 帰らぬ人あの人みたいに美しく清らかに思い出の窓を開いて 忘れようなにもかも大切にするためにここに埋めよう掌で咲く花はない忘れよう 病める日にはぬるい風を浴びよう灰の舞う空太陽が瞬いて 帰らぬ人あの人みたいに弱いままでいたいのに人は皆 思い出の虫 貝殻の上を歩いてそれはかつて生きた誰かの夢 …
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額縁の中で – おいしくるメロンパン
昔日のワルツと風に靡くスピカ君と呼吸を揃え 踊ろうさあ目を閉じて 嗚呼思い出せはしないがたしかにこの景色を知っているあの角を曲がった先に絵画市があるはず 額縁の中で揺れる木漏れ日に懐かしい風が薫る 歪みのない世界地図病名を消したカルテ愁のないシナリオ油を垂らしたら 飾られた世界から君だけを奪うから筆のリズムに乗せて 踊ろうさあ手を取って 嗚呼思い出せはしないがたしかにこの景色を知っている鉄塔のあの…
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千年鳥 – おいしくるメロンパン
世界の最終回でまた会おうぜ途方もない時間の果てに立って今って何ページのどのあたり読み飛ばしてしまえたらいいねなんて 羽ばたいていけあの日流した涙を越えAnd you and I meet again僕の名前憶えてる?醒めないでいて海や風になってしまっても千年後の僕もまだ愛してくれる? 最上階でまた会おうぜ情けない感情も底をついて燃やした思い出の熱源で巻き戻してしまえたらいいね 羽ばたいていけさらば…
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眠れる海のセレナーデ – おいしくるメロンパン
ボロ切れの袖を透かしてみた空凍てついた風と溺れそうな太陽ただ冬の海に還りたくなるの きっと前の世界でまだ私を呼ぶ声が鳴り止むことを忘れたままでいる青くなっていく月が頬を撫でながら二人の影は一つ 柔らかな痛みの中 随分と長く引きずったものだ離さない方が楽だっただけよただ冬の海に還りたくなるの ずっと先の未来でまたあなたに出会うだろうそしたらきっと全てを思い出そう青くなっていく月が頬を撫でながら二人の…
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沈丁花 – おいしくるメロンパン
雨降り意を決しとかくこんな日に限って不覚術なく待ちぼうけ師走に咲く沈丁花 月冴ゆる季節厚雲飲み込んで一節差し詰め北時雨日暮れ歩く町外れ 悴む指先から奪われてゆく夜に溶けてゆくやがては世界の温度も冬の配下に成り下がってしまう氷点下 硝子になった五臓六腑のシュプレヒコールを品性を欠いた感情じゃ融点は超えないよ 透明な手口で以って奪われたこの手の温度で孤独な寒月に今触れた気がしたんだ 硝子になった五臓六…
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砂の王女 – おいしくるメロンパン
果てを目指して さぁ砂に足を取られようとも君が忘れた全部を僕が思い出せる間に 一夜限りの雨が白紙に戻した世界地図ただ一つ覚えてた胸の奥にかかる虹のふもとへ The castle walls are likea birdcage that shuts you in深い影の忍ぶ窓辺に 風を焦がして嗤う残酷な季節もそれを奪えはしない内なる海を 枷を外して さぁ抜け殻の街を背に行こう君が何も知らなくても僕…
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式日 – おいしくるメロンパン
城壁の向こうから風船が空を覆う君はまだ眠る城壁の向こうから知らない歌が聞こえるブランケット被っている微睡む君の枕元へ ラジオダイヤル 0khz待ち合わせは 12:40お間違えないようにご注意ください 挨拶がわりのワルツ腕時計は 12:40コーヒーはアメリカンでご賞味ください ファンファーレ定刻通り式が始まる 城壁の向こうから風船が空を覆う君はまだ眠る城壁の向こうから知らない歌が聞こえるブランケット…
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渦巻く夏のフェルマータ – おいしくるメロンパン
やがて魔法から醒めてゆく排水口に夏が渦巻く君の気配が薄れていく僕を残して 定まった被写界深度下回った低い融点頬を伝ったこれが最後まだ僕は取り繕って永遠だった筈の想いを気化熱が奪っていく 雨も涙も栓を抜いたプールの思い出も行き着く先は海の果て 君はもう流れ着いた?僕をここに残したまま季節は今ゆっくりと動き出した風が冷たくて魔法が解けていく どんな言葉もあの日拾った貝殻もボロボロの君の袖透かした空も …
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フランネル – おいしくるメロンパン
単純なことですら難しく考えてしまう癖斜め色の夕景にやがて僕も染まりはじめてる 焼きついたまま君をくり抜いてずれる街言えないままに飴玉は溶けて甘ったるいだけ 不確かで不揃いの言葉じゃ選んでも選んでも渡すもんがないねえどうしてもありのままを吐いてもほつれた先から風に舞う紅いフランネル 欄干の影を跳ぶまた一つ飴玉が落ちる 頭の中で街をくり抜いてずれる君眩しくてまだ僕は目を伏せたまま 身勝手で頼りのない僕…
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黄昏のレシピ – おいしくるメロンパン
切り刻む 今朝の誓い押し潰す 昨日の後悔盛り付ける 君の名前ごちゃ混ぜのサラダボウル 例えばこの中いくつもの彩僕が一つずつ失くしたとしたらじゃあどっから僕が僕ではなくなるのなんて知りたくもないけれど 代わり映えのないこの日々に積もるとりどりの君の言葉が僕を作っていく混じり気のない風の中嗚呼 募っていく仰げば羊雲どこまでも山並み平らげて駆けていく 傷んでた 淡い期待切らしてた 心の余裕もういいやヘル…