買ったばかりのペダルを
息切らせて漕いでは桟橋へと向かう
深呼吸で吸い込んだ風は
少し石油の匂いがして
その大きな川に流れてた
君を待ってる 手持ち無沙汰に
ぼんやりした幸せが満ちてく
向こう岸から ゆるいスピードで
近づいてくる水飛沫は君かな?
水上バスの中から僕を見つけて
観光客に混じって笑って手を振る
そんな透き通った景色を
僕の全部で守りたいと思った
君乗せて漕ぐペダルにカーラジオなんてないから
僕が歌ってた
そのメロディーに忍ばせて
いとしさの全部を
風に棚引かせて歌ってた
「この間偶然見つけたんだよ
新しいカフェ きっと気に入るよ」
君と過ごす日のことをいつでも
シミュレートしてこの街で暮らしてるんだ
夕日が窓際の僕らに注ぎ
君は更に綺麗な影を身につける
君への思いが暴れだす
狂おしいほど抱きしめたいと思った
川の流れのように
愛は時に荒れ狂ってお互いの足をすくいはじめる
僕が悪いんじゃない でも君のせいじゃない
「さよなら」を選んだ君はおそらく正しい
悲しみが満ちてく
僕は待ってる 今日も待ってる
想い出の中に心を浸して
水上バスの中から僕を見つけて
観光客に混じって笑って手を振る
そんな穏やかな景色を巻き戻すように
川の流れに沿って
ひとりペダルを漕いで
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