高石友也

主婦(かあちゃん)のブルース – 高石友也

みなさん私の歌をきいてよ
私は平凡な奥さんよ
もうすぐオバアちゃんになってしまう
五十をチョットすぎた奥さんよ

私が一番きれいだったとき
あたりまえの男とお見合をして
その時あこがれてる人がいたけれど
親がすすめるから結婚したの

楽しいはずの新婚生活
それは戦争のまっさい中
夫は知らない南の島へ
モンペをはいて泣いてた私

おお人生は悩みよ
楽しくはないの
恋なんかしない間にフケちゃった
これが人生というものかしら
思いどうりにはいかないものね

やがて子供が生まれたのよ
私はこの子にかまいっきり
ところがオバアちゃんが干渉をして
ヨメとシュウトメの対立よ

夫の浮気に気づいた夜は
純情な私も乱れたの
いっそ子供がいなければ
あの時離婚をしていたわ

長男が大学 次男は幼稚園
少しでもいいところへ入れようと
私は徹夜でならんでまったの
その時から冷え性になっちゃった

おお人生は悩みよ
楽しくはないの
恋なんかしない間にフケちゃった
これが人生というものかしら
思いどうりにはいかないものね

やがて子供は恋をして
私に恋人を紹介する
恋も自由にできなかった
私はシットにもえくるう

やがて子供の結婚式よ
しらがのまじった私は
幸せそうな二人を見つめて
思わず主人をみかえした

もうすぐオバアちゃんになってしまう
私の小さな楽しみは
朝は「旅路」に 昼は「小金治」
テレビが私の生きがいなのよ

別に大きな不幸もなく
平和のうちに年とった
私は自分に問いかけるの
ほんとにこれでよかったのかしら

おお人生は悩みよ
楽しくはないの
恋なんかしない間にフケちゃった
これが人生というものかしら
思いどうりにはいかないものね

主婦は女の生きがいかしら
ほんとに私は生きたのかしら

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