越路吹雪

冬の螢 – 越路吹雪

オーバーの衿はたてるもの
別れるときのくちづけで
はげた口紅かくすもの

オーバーの衿はたてるもの
別れるときのくちづけの
甘い匂いをしまうもの

想い出は
つめたい春の日
そっと吹いた南の風が
あたしのほほに
キッスした
ツィツィツィツィ
ツィツィツィツィ
あたしのほほに
キッスした

あたしはうすい肩かけを
まだうすら寒い夜の風
よけるように歩いてく
待っててくれればいいけれど

臨時燈の電球が
裸のままでゆれている
夜店の中の春の風

アア…
そもそも縁日は
一の日は不動さま
二の日は観音さん
三の日は清正公さま
四の日は御地蔵さん
五の日は水天宮で
六の日は金比羅さん
七の日は大黒さま
八の日はお稲荷さん
九日弘法さま
十日の恵比寿さま

お宮ぢゃローソク上げて
おさい銭がザラザラ
ナムアミダブツ
南無妙法蓮華経 南無妙法蓮華経
オンアボキャーべーロシャの
高天原からザラザラ

おがんでる亡者ども
家内安全
火難 盗難 真平ごめんで
それでさい銭ザーラザラ

よくばってるのは亡者の方だか
それとも坊さん 神主さん
おがまれてる御本尊はだまって
座ってござるが
あっし達仲間は
ヴァイオリン片手に
声をからして客をよぶ

夜の街を
流して歩く
ヴィオロンは
哀しい恋の
歌をうたう
星が流れりゃ
ヴィオロンの
弓もつ手もとも
ふととまる

黄金のたらいの真中に
サラサラ流れる白ザラメ
みるみる白いわたになる
白いわた 白い雲
白い雪…

今朝の出がけの約束は
ボーナスもらって今夜こそ
お前と二人の晩餐に
赤いブドー酒くみ交そ
けれどもすでに11時半
終電車さえなくなった
あなたはやっぱり暮れの街
ジングルベルで飲んでいる

あの雲は
おっかさんの顔だ
ひたいのところの
しわがふかい
「おっかちゃァーん
あいてえなァー…」

あの雲は
ぢいさまの顔だ
みみのうしろの
こぶがまるい
「ぢいちゃァーん
聞えるか……」

ひとりになれば
夢に見る
ふるさとの山
ふるさとの川

白いキャラコのカーテンが
すき間をもれる秋風に
ゆらゆらゆれる
やせほそったあなたの寝息が
はたとやんで
どっと咳がこみ上げた
死ぬのはいやだ
お前をのこして
俺がひとりで死ぬなんて…

白いキャラコのカーテンに
パッと咲いた赤い花
ゆらゆらゆれる
パッと咲いた赤い花
あなたはそれっきり
行っちゃった
遠い国へ行っちゃった
夢は悲しい電気あめ
サラサラ流れる白ザラメ
すぐに白い雪になる
白い雪 白い雪
白いわたになる
電気アメ

バナナ
やらかく甘い
バナナ
黄色い皮の
バナナ バナナ バナナ
安くて うまい
バナナ
こんな立派な
バナナ
安くまけとく
バナナ
買っておくれよ
バナナ
バナナ バナナ

南の国のフォーモサで
枝もたわわな青い実は
籠につめられ 船にのり
赤い夕日の港から
ゆらゆらゆれて 来ましたが

バナナ
黄色くなった
バナナ
黒くなっても
バナナ バナナ バナナ
中はやらかい
バナナ
しわがよっても
バナナ
安くまけとく
バナナ
買っておくれよ
バナナ
バナナ バナナ

店さきの深いドンブリ
ソースが入ったドンブリに
揚げたばかりの串カツを
ジューンといわせてつけてみりゃ
昨日は昨日
明日は明日
今日をたよりのコップ酒
みあげた夜の星空が
せめて明日の気休めさ

橋をわたった左側の
温泉マークの安ホテル
すれた畳の四畳半
かっとなって抱かれたが
たったひと夜のことだったが
浮気ぢゃない
浮気ぢゃない
旅に出たまま帰らない
お前にあんまり似ていたの

待っても 待っても
帰らない
お前が恋しいばっかりに
消えてたはずの恋の灯が
フッと私をさそったのよ

あたしは冬いた螢だった
生きのこった冬の螢が
生命(いのち)のかぎりに 灯をともし
お前が恋しいばっかりに
許して頂だい
許して頂だい
冬の螢のあたしを……

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