茜さす日に嘘を隠して

  • 色を変えて – 茜さす日に嘘を隠して

    窓の外は夕景 見慣れた街並みが茜色から藍を帯びてく ホームは色とりどりくすんだピンクにスーツの黒たち流れていく改札を通れなかったのは髪が少し短かった春 ジョーカー抜きで遊んでいたら頭の中でちかちかとカードの文字が瞬いた「逃げても良いよ」が消えてはじけたのはグレーの部屋 間違った 嘘をついた 笑った 泣いた全部がまるでどこか遠い昔話みたい窓の外は夕景 見慣れた街並み色を変えてあなたの場所まで届いて …

  • 砂が落ちる – 茜さす日に嘘を隠して

    満喫のフラットシートプラグ抜いた画面 消える映画ラストシーンは知らないふたりのキスで終わりみたい 「好きだよ、ずっと」で返る頭の中の砂時計ごめん もう止めらんない「ねえ、あたし達ってさ」 明日が来る前にあなたのことあたしに刻みつけて温度が変わるのが嬉しくてあなたに爪を立てる 蜂蜜が甘い君のシャンプーがふわっと香るアイスティーの氷のようにいつか溶け出してしまう 「好きだよ、ずっと」だなんて言わなきゃ…

  • あと1歩 – 茜さす日に嘘を隠して

    ねぇ 100歩譲って 友達だとして君はいつだって 許されてばっかだね記憶の中では何回も今日みたいな遅刻あるでしょ「忘れた」とか悪びれずに笑って言う 君の1番都合いい友達は誰あの日の「もちろん」本気にしてるの? いいよ 君が泣いて一生 ボロボロになってきっと 「うざい」って捨てられたら思い出してよ 「最低」「あいつひどい」って出来の悪いbotみたいに君を慰め続けるからこっちを向いてよ あと1歩だけそ…

  • 手紙 – 茜さす日に嘘を隠して

    名前も知らない君に「拝啓」書き出しの文字 思ったより小さくて君が飛んだ火曜日の快晴ひとつだけ開いた窓に切り取られた 大人たち「いじめはない」お揃いの黒い服で一礼「ずっと忘れない」と先生机どかして名前消すんだ 君が最後見た空が青くたってそんな色 価値がないただの反射光君が最後に笑えていたらいいなって少しだけ思った 私に見せないでいいから届かなくていいから 名前も知らない君使ってたとえどんな嘘ついても…

  • さんざんな朝 – 茜さす日に嘘を隠して

    いつもの駅 改札タッチ「残高なし」「すいません」の小声に誰か舌打ちした「あなたを売ってください」の次の日の朝急行電車が通過 誰もいないベンチ もう見なくたっていいのに 何回も動かす指あの子が撮ったストーリー 私があげた靴 落ちる理由もわからないしあなたは「簡単だ」と言うし白線の向こう側に 誰かが待っていたなら いいな落っこちそう きらめいたまま嫌いになりたいあんなに優しくしてくれたこと私はすぐに忘…

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