美良政次

  • 霧の海に棲む人魚 – 美良政次

    この胸に暖かな貴女を想い振返るひとり心を濡らす人は皆 夢を求め別の海へ飛び立ってゆくのでしょうか? 幼き日の僕に与えたあの笑顔 戻せるなら 貴女の胸に抱かれ子守唄に眠りたい時の流れに消えはしない霧ノ海に棲む人魚 もう一度逢えるのならば貴女を強く抱きしめ二度と離したりしない霧ノ海に棲む人魚 貴女を離しはしない霧ノ海に棲む人魚 想い出の歌声に貴女を浮かべ振返り頬を涙がつたう傷ついた羽根を休め癒し此所へ…

  • やさぐれブルース – 美良政次

    親父の演歌が子守歌 今でも聞こえるしゃがれ声時代遅れと 笑った俺が 演歌肴に 酒を呑む 下手に出れば付け上がる 本音を話せば突っかかるしょせんこの世は 殿様ばかり やさぐれ男に 勝ちはない ささくれ畳の狭い部屋 甲斐性なしにも夢があるこんな俺でも ぬくもりくれる おまえに見せたい 夢がある てっぺん目指すと意気込めば 梯子を外され泥ん中どうせやさぐれ 出たとこ勝負 いつかは俺にも 風が吹く いつか…

  • お父さんの唄 – 美良政次

    父さん元気ですか そっと呟くけれど今はもう星のそばで あの日の笑顔が揺れるだけ 石を積み上げて 積んで積んで積みなおすそんなあなたの人生 いつでも俺は誇りにして今日も東京暮らし 父さん 父さんもっと話がしたかった 父さん西の空は 遠く果てなく続くもし道に迷うときは あなたの残した地図をゆく 誰のへだてなく 人を友を持ち上げてそんなあなたはこの世で 自分の夢は叶えたかい狭い時代の中で 父さん 父さん…

  • 女のひとり酒 – 美良政次

    笑顔と涙 裏街劇場男と女が肩を並べ一つの答えを探す旅路は別れが舞台の恋物語 行き交う人波々の中に貴方の香り思い出す 街のネオンを悲しみが濡らす新宿ゴールデン街路地裏 曇り空に浮かぶほら、ぼんやり月あかりまぶた残る貴方と呑むわあゝ 女のひとり酒 いくつもの人情織りなす酒場今宵もグラスに涙重ね泳がす指で溶かした傷みは優しい記憶へとかえていく 心のアルバム次へとめくりあの日の姿思い出す 街のネオンが悲し…

  • 愛うらはら怨み節 – 美良政次

    あなたの胸に深く沈みながら冷めた鼓動で永遠の契りを結び感じるの閉じた瞳に 共に歩んだ運命を選んだ足跡を見つめて涙を浮かべ潤んだまぶたを胸に押し当てた 愛した方の負けだから私、笑顔で見送るわ心縛られ身動き取れず隠した憎しみはつのる 愛うらはら怨み節 私の腕の中で眠りなさいこの温もりで束の間の時間孤独を知ったの瞳の奥に 通わぬ心 言葉を選んだ未来(行き先)を見つめて心に隠し握ったナイフを首に押し当てた…

  • 古い手紙 – 美良政次

    不器用に綴るあんた書いた最後の古い恋文涙かすみにじむから見えず 今も読めていないの 辛くて あゝ あんたの言葉知りたくはないのよ今だけ ねぇ 私をもぅ一度抱いて強く心寒い部屋で孤独に手にとった手紙 サヨナラ…に続くあんた書いた最後に残る言葉を時間がキズを塞ぐからここで開けて読んでみました 辛くて あゝ あんたの言葉知りたくはないのよ今だけ ねぇ 私をもぅ一度抱いて強く心寒い部屋で孤独に手にとった手…

  • 比婆山まつり唄 – 美良政次

    ヤーサー!えんやーさーのどっこいしょ!やさ!えんやーさーのどっこいしょ! 我ら民の母が眠る稲穂が映ゆる郷西城御国と神を産みあげた伊邪那美よ やさ!えんやーさーのどっこいしょ! 御陵囲む山の連ね遠望開く雪景色幻の生き物が棲む謎の山 老いも若きも手を取って笑顔溢れる輪になって歌声晴れやか天高く実りが空に届くまで太鼓の響きで舞い踊れ比婆の郷では祭りだぞ! やさ!えんやーさーのどっこいしょ!やさ!えんやー…

  • 霧の海 – 美良政次

    乱れる細文字 置手紙君を偲(しの)べば 心が痛い ああ 会いたい 会いたい何に代えても 会いたい 一人一人一人一人一人降り立つ 三次の町はあたり一面 霧の海 暮らした月日を 数えても思い出すのは 泣き顔ばかり ああ ごめんよ ごめんよただくり返す ごめんよ 二度と二度と二度と二度と二度と通わぬ 線路の先は今日も明日も 霧ばかり 借りたままだね 倖せ返すあてさえ ないのに 愛を愛を愛を愛を愛をさがし…

  • 夜桜花~YA.OUKA~ – 美良政次

    月の光に照らされた生まれたまんまの この身体夜の鏡に映しだす姿に問い掛ける 空に浮かんだお月さまどうか見ていてね この私小さく包んだ この想いいつかは飛びたつの 羽を閉じた 蝶のように 空見つめる愛の炎春を求む 花のように つぼみのまま愛の炎音を持たぬ 風のように 静かに吹く愛の炎汚れ知らぬ 性のように 色をつけぬ愛の炎 静かなる夜桜花 あゆみ出せないの 忍ばす指に紅つけて艶ある姿に変えていくサナ…

  • 夜と朝のあいだに – 美良政次

    夜と朝のあいだに ひとりの私天使の歌をきいている 死人のように夜と朝のあいだに ひとりの私指を折ってはくりかえす 数はつきない 遠くこだまを ひいている鎖につながれた むく犬よ お前も静かに眠れお前も静かに眠れ 夜と朝のあいだに ひとりの私散るのを忘れた 一枚の花びらみたい夜と朝のあいだに ひとりの私星が流れて消えても 祈りはしない 夜の寒さに たえかねて夜明けを待ちわびる 小鳥たち お前も静かに…

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