竹原ピストル

石ころみたいにひとりぼっちで、命の底から駆け抜けるんだ – 竹原ピストル

慕情と身勝手の曖昧な境界。
会えないのか、会いたくないのか。
巡り巡る旅路の風は、紙ヤスリのようにぼくをずるんと撫でていく。
お陰でぼくの車の中は、ぼくの削りカスだらけだ。
いつか完全にコナコナになったら、ビンに詰めて砂時計にしてね。
君んちのキッチンの片隅にそっと佇んで、例えば、
パスタのゆであがり具合でも、のんびり見守っていてあげる。
あの世、天国、地獄、来世、永遠のその先、世界の果ての果て、
その他諸々、都合よき待ち合わせ場所の存在を、
こっそりちょっぴり本気で信じて、今は君を想うのはよそう、
今は君を想うのはよそう。。。って
今も君を想ってる。

中毒と探求の曖昧な境界。
止められないのか、止めたくないのか。
東西南北、全国津々浦々の裏の裏、春夏秋冬、年がら年中、四六時中。
自分でも他人でもなく、“生き甲斐”にずるずると引き摺られて、
ステージ上がって、ステージおりて。
上がって、おりて。上がって、おりて。いち、に。いち、に。
上がって、おりて。いち、に。
たかが、されどの踏み台昇降。
ステージより上の景色を見たことがない。
見たくもない。興味がない。
ギャラかっさらってとっとと撤収。
宿にて独酌。自問自答。
まどろみの中、ふらふら浮遊するフレーズ達の襟首とっつかまえ、
あと何曲完成させれば、あと何曲完成させれば、
あと何曲完成させれば。。。
ぼくは完成するんだろう?

情熱と執念の曖昧な境界。
諦めないのか、諦められないのか。
あれが最初で最後のチャンスだったと勝手に決めつけて、勝手にとぼとぼと
ポケットに手を納めてしまってはいないか?
実力が足りないことを棚に上げ、図々しく“スランプ”などと口にしては
芝居がかった苦笑いを浮かべてはいないか?
夢追うことに夢を見ず、身を蓋ごとぶち抜いて突き進むんだ。
その先に確かにあるものをただ確かに掴み取っていくんだ。
今からでも、っつーか、いつからでも遅くなんてない。
歳くった、丸くなった、錆びただのといった言い訳脱ぎ捨て全裸になったら
大人の階段転がり落ちて、クソガキみたいに暴れまわれ。
体の輪郭弾き飛ばす程にジタバタあがき続けろ。
やり残していたこと一つやり遂げると、やり残していること一つ思い出す。
ゴールラインは跨いだ途端にスタートラインに姿を変える。

ホームグラウンドに友達集めてレコ発ワンマン。おめでとー、ありがとー、
はい完結、ってそれもいいけど、気付いてやってくれ、フロアの隅っこ、
あんたの音源が、旅を求めて泣いてはいないか?
いつものメンツでジョイントライブ。今日は俺の勝ちだ。いや、俺の勝ちだ。
わはは。ってそれもいいけど、気付いてやってくれ、楽屋の隅っこ、
あんたのギターが真の勝敗を求めて泣いてはいないか?
誰かに追い付き追い越したときにはもうまた誰かの背中が見える。
臆することなく拳を伸ばせ。でっかい背中にケンカ売りまくれ。
上を向いてても、前を向いてても、下を向いてても涙はこぼれる。挑んでる
限り涙はこぼれる。ほっとけそんなもん、挑んでいこう。
あと何人に追い付けば、あと何人に追い付けば。。。
誰にも追い付けない速度で、突っ走ることができるだろう?

慕情と身勝手の曖昧な境界。
会えないのか、会いたくないのか。
巡り巡る旅路の風は、紙ヤスリのようにぼくをずるんと撫でていく。
お陰でぼくの車の中は、ぼくの削りカスだらけだ。
いつか完全にコナコナになったら、ビンに詰めて砂時計にしてね。
君んちのキッチンの片隅にそっと佇んで、例えば、パスタのゆであがり具合
でも、のんびり見守っていてあげる。
あの世、天国、地獄、来世、永遠のその先、
世界の果ての果て、その他諸々、
都合よき待ち合わせ場所の存在を、こっそりちょっぴり本気で信じて、
今は君を想うのはよそう、今は君を想うのはよそう。。。って
今も君を想ってる。

どんな気持ちだい?ってきかれても
どうにもうまく答えられないけど
少なくとも哀しくなんてないよ
生まれたときもきっとそうだった
くたばるときもきっとそうだ
命の底から 駆け抜けようとするとき
きっと 人は誰もが
石ころみたいにひとりぼっちだ
あの瞬間を思い描きながら
その瞬間を思い描きながら
毎日を命の底から
命の底から駆け抜けるんだ

石ころみたいにひとりぼっちで、命の底から駆け抜けるんだ

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