神田沙也加

リコレクションエンドロウル – 神田沙也加

生活は苦悩の推敲。其れ何れも此れも水葬。
不愉快は食道を逆行、早く誰か僕に罰を。
僕は身分を持たない分身、出演の出来ない演出。
指に灯った静電気の様な、そんな滑稽なルウザー。
群がって競って生命線、其れ擬るレコオドプレイヤー。
行着く先は一体何だ? 傷だらけのデイスクは「厭だ厭だ。」
戯言と理想観の闘争、化物と呼吸のクオレル。
疾うに狂ったレイテンシイ、もう駄駄羅遊は是迄だ。
陋劣な佞言は、ノウセンキュー。
綢繆した螺旋状の夜は終らない!
一・二・三、秒針はアンダンテ。
僕は何を知って確と生きている?

さあ、疑え!此世はフィクシオン。
総ては僕のせいだ。
もう、網膜に絡まっていた感覚は消え去った。
ならば寸途、目を瞑って居よう。
左様ならは云わないで迎えたエンドロウル、
本当はただの影だ。
もう、存在の証明なんて何処にも無い事、
僕は屹度解っていたのさ!

生活は美化する随想。其れ誰も彼も水泡。
花詞の意味は廃忘。早く誰か僕に愛を。
僕は不憫な飛べない猿人。真夜中と悔のランデヴ。
仄白んだカーテンの上、斑に描いた黒い熱。
軽佻な、不透明のアイラブユー。
斟酌した不戦勝の旗は意に染まない。
一・二・三、信号はモルデント。
僕は何を以って僕を名乗っている?

さあ、疑え!此世はフィクシオン。
総ては僕のせいだ。
もう、聴覚を這磨っていた幻影が疼くんだ。
ならば寸途、耳を閉して居よう。
左様ならは云わないで迎えたエンドロウル、
美学に価値は無いさ。
もう、厭世の償却なんて一つも無い事、
僕は屹度憶えていたのさ!

さあ、疑え!此世はフィクシオン。
総ては僕のせいだ。
もう、脳内に悴んでいた体温は消え去った。
ならば逸そ、息を塞いで居よう。
左様ならは云わないで迎えたエンドロウル、
本当はただの影だ。
もう、存在の証明なんて何処にも無い事、
僕は屹度解っていたの。 今になって気付いたんだよ。
僕の負けさ。
雨が降っている。
farewell!

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