研ナオコ

  • わすれ鳥のうた – 研ナオコ

    あたいの名前は わすれ鳥いつでも笑える わすれ鳥やけに明るい ブルースを昼でも夜でも うたってる あたいをたずねて みたいなら悪口づたいに 来るがいい風に悪気が ない限り風見のうわさにゃ うそがない あばずれ女に 伊達男似合いの役者と 人は呼ぶ下手なてあいに まかすより出まかせ芝居は さまになる ところがあたいの ト書きにはいつでもきまって かいてあるふられまぎわの 居直りを笑って語ると 書いてあ…

  • あなたと私のティータイム – 研ナオコ

    あなた いきなり部屋に入ってきて私 一人で日記書いてるあなた カーテン開けて外を見てる私 チビた鉛筆けずってるあなた こっそり私を盗み見る私 パタンと日記閉じてしまうあなた 部屋をぐるぐる歩きながら私 立ち上りガスに火をつけるあなた 灰の落ちるのも気付かないで私 ポットにお湯をそそいでるあなた やたらとタバコを吸っている私 二ッのカップに紅茶を入れるあなた「ごめんな 強く言い過ぎたよ」私 すました…

  • メルヘン通り – 研ナオコ

    一人切りで ほほ杖ついて風を見ている メルヘン通り腕を伸ばせば いるはずの人そのぬくもりが 忘れられない初めて二人で歩いた 赤いレンガの敷石も今は落葉の通り道想い出追って 駆け出したいの黄昏せまる メルヘン通り 赤い車が ライトを消して止まっている メルヘン通りフロントグラス 二つの影が寄り添いながら 浮んでいるよあなたと一緒に名付けた 恋人達のこの道も今は涙の通り道昔の二人 見ているような溜め息…

  • 笑い上戸 – 研ナオコ

    小さな頃から私と来たらおかしな時に笑い出す困った癖があったっけ初めて口づけ交わした時もまゆげの上に双子のほくろ月明りの下見つけただけで驚くあなた構わずにおかしいよってハッハッハ 笑い出すなんて 時々なんでもない事なのに大事な時に笑い出すそんな自分が嫌になるぼくの故郷へ来てみないかといつもの店で聞かされたのにやたら気取った真面目な顔ととぎれとぎれの言い方がおかしいよってハッハッハ 笑い出すなんて ぼ…

  • 微笑の挽歌 – 研ナオコ

    チャイム鳴らして ほんのしばらくあなたを待つのが とても好きでした普段着のままの 心を見せて笑顔返すのが 幸福でしたどうして…… どうして……あの時に微笑に嘘 見い出せたでしょう あなたへの愛が たわわになって腕をすり抜けて こばれた時も外出着(よそいき)まとった 笑顔の下で打ち明けるのさえ 拒んだあなたどうして…… どうして……あの時に微笑浮べ 逃げたのでしょう やさしい人だと 描いた夢を今でも…

  • 明日 靴がかわいたら – 研ナオコ

    明日 靴がかわいたら 長い坂をおりてとなり町のふもとまで 大切な買い物に古い靴のひもは切れかかり 新らしいのが要る早くとなり町へ買い物に 急いで歩いてゆく坂のこちらには店がないとなり町へ歩かなければこの靴はとなりの町角でもらったものだから明日 濡れた靴がかわいたらとなり町へ買い物に 長い坂をおりたなら 広い河を渡るとなり町へ入るには 河を越えるほかはない広い河に足を踏みこめば 靴ひもは切れかかるま…

  • あの子 – 研ナオコ

    あの子の好きな事なら 空でも言えるよお酒に車に女の子あの子の口癖がいつか 私に移るよ女は可愛いけりゃそれでいいさ私達底抜けの陽気さで若さ寄せ合う小鳥だったあの子が愛してるのは きままな自由とその時限りの幸福だけさ あの子のどんな変化も 私の心に小さな爪痕残してくあの子の口癖もいつか あくびに変るよ 女は可愛いければそれでいいさ私達底抜けの陽気さで若さ寄せ合う小鳥だったさよなら それだけなんて あの…

  • パントマイム – 研ナオコ

    翼のように 両手を広げ恋の空を飛んでるつもり指先ひろげ 花びらつくりあなたの胸に咲いたつもりHAー パントマイム HAー パントマイム届くはずない恋なのさHAー パントマイム HAー パントマイム一人舞台の楽屋裏だよ つま先だって 子猫のようにこっそり忍び込みたいけれどくるり廻れば 鏡の中に背伸びしている私だけさHAー パントマイム HAー パントマイム無理なポーズが命とりHAー パントマイム H…

  • こんな風に過ぎて行くのなら – 研ナオコ

    こんな風に過ぎて行くのならいつか また何処かで 誰かに出逢うだろうあんたは 去ってしまうしあの娘も あっさり結婚今夜ほど 寂しい夜はないそうさ 今夜は 世界中が雨だろう こんな風に過ぎて行くのならいつか また何処かで 何かに出逢うだろう子供たちが 駈けて行く道を何気なく 振り返れば長い長い わたしの影法師そうさ 今夜も やるせない夜の幕が開く こんな風に過ぎて行くのならいつか また何処かで 誰かに…

  • ヘッドライト・テールライト – 研ナオコ

    語り継ぐ人もなく吹きすさぶ風の中へ紛れ散らばる星の名は忘れられても ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらないヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない 足跡は 降る雨と降る時の中へ消えて称える歌は英雄のために過ぎても ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらないヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない 行く先を照らすのはまだ咲かぬ見果てぬ夢遥か後ろを照らすのはあどけない夢 ヘッド…

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